歯育て相談室
大人とは違う、こどものお口の中。どうやってケアしていけばいいのか、不安や疑問に思うことがたくさんあるのは、おかしいことではありません。最近では、こうやってインターネットを使用すれば、簡単に色々なことが調べられるようになりました。ですが、そこで問題なのが信憑性や正確性、そして最新の情報であるかどうかということ。
このQ&Aは、患者さんからの質問を基に作成しています。
もくじ
基本編
マイナス1才~3才編
4才~12才編
基本編
こどものむし歯の原因
むし歯がどこからやってくるのか考えたことはありますか?
生まれたばかりの赤ちゃんには歯がありません。
そしてむし歯菌もいないんです。
それではむし歯はどこからやってくるのでしょうか?
実は今までむし歯になったことのある、赤ちゃんの周りにいる人たちからうつるのです。
これはよく「母子感染」と言われますが、決してお母さんからだけ感染するわけではありません。生まれてくる前に、おなかの中で感染するわけでもありません。
むし歯になったことのある人から口移しでご飯を食べたりすることで菌が感染し、増えていきます。
そして原因は菌だけでもないのです。
だ液の量や、質、食生活などにも影響を受けてしまいます。
こどもの予防ってなにするの?
予防・メンテナンスといっても、何をするのかよくわからない方も多いかもしれません。 歯みがきをしてあげるしかないんじゃないかと思われるかもしれません。
こども達は、仕上げ磨きを嫌がったり、歯みがきそのものも好きではなかったりします。 歯医者さんで歯みがきを教わったけど、仕上げ磨きをさせてくれないから予防できない! なんて声も時々聞こえてきます。 そんな時、今までだったら怒ってさせていたかもしれません。お父さんお母さんも、こどもの頃怒られながら歯みがきをしたのかもしれません。 しかし、もうその必要はありません! これからの予防それは・・・ 食後に甘いタブレットを食べる 寝る前にフッ素を塗る 歯みがきが上手にできたら、タブレットやチョコレートを食べられる そして時々歯医者さんに遊びに行く え??と思われた方、それが普通の反応です。 甘いタブレット?チョコレート?まさかカカオが歯にいいとか・・・? そんなことはありません。 実は上に書いたタブレットやチョコレートは、歯医者さんに売っている「むし歯にならないお菓子」なんです。 そんなに甘やかしていいのかと心配されるお父さんもいるかもしれません。 しかし、私たちの時代とは明らかに違うのです。 何より怖いのは歯みがきを嫌いになること。 あの痛い思い、怖い思いをしないですむのなら、どんなことだってしてあげたいとおもいませんか?マイナス1才~3才編
妊婦さんはむし歯になりやすい?
「こどもを1人産むと歯が1本抜ける」とか「妊娠中は赤ちゃんにカルシウムを取られる」という話を聞いたことはありますか?
実際、そう信じていた妊婦さんもいました。
もしもカルシウムが不足していたとしても、赤ちゃんにカルシウムを取られることはありませんし、歯が抜けてしまうこともありません。
しかし、妊娠、出産時に歯を悪くされる方もたくさんいます。
それには理由があったんです。
1. ツバが酸性になって、ねばっこくなっている
2. つわりなどで、食事の回数が増え、嘔吐など汚れやすい
3. 歯ブラシを入れると、気持ち悪くなってしまう
4. ホルモンバランスが崩れ、免疫力が低下している
5. 甘いもの、酸っぱいものが食べたくなるなどの食べ物の好みの変化や偏食
6. ただでさえ嫌な、歯の治療を避けてしまう
さらに、妊娠中、歯みがきの時歯ぐきから出血しやすいと感じた方が71%いるというアンケート結果もあり、むし歯だけでなく歯周病にもなりやすいお口になっているのです。
「妊娠性歯肉炎」という病名があるほど、妊娠中の歯ぐきのトラブルはよく見られることです。
しかし、そのまま放っておいていいものではありません。
そのままにしておくと、流産・早産・低体重児出産という妊娠トラブルが7.5倍にも増加することがわかっています。
「妊娠性歯肉炎」以外にも、「妊娠性エプーリス」や、親知らずの周りは腫れてしまったり、口内炎ができやすくなります。ばい菌が増えたり、口の中がベタベタ、ネバネバしているので、口臭も気になってきます。
そんな時はお口の中を清潔にして、気分もリフレッシュするのが1番です!
妊娠中にむし歯になったら
ただでさえ逃げてしまいたい歯の治療・・・
ですが、放っておいて出産時にトラブルがあっても困ります。そして先延ばしにすると、もっと通いにくくなってしまいます。なぜなら、赤ちゃんをお世話してくれる人を見つけないといけないからです。
出産後、なかなか歯科医院に通えず、歯がボロボロになってしまうお母さんも少なくありません。
ですから、治療は妊娠5~7ヶ月の安定期に済ませておくことが大切です。
妊娠初期はつわりがあったり、流産の危険がありますし、後期は、仰向けに寝るのが大変になってくるので、一般的には簡単な応急処置のみおこないます。
麻酔はしちゃだめ?
「できるだけ薬は使いたくない」という思いは、ハートフル歯科も同じです。
しかし、痛いかも、とドキドキして治療を受けたり、痛いのを我慢したりすると、逆にストレスになります。
ハートフル歯科で使う麻酔は、局所麻酔で、使う量もとても少ないですし、 使用する麻酔薬は無痛分娩や帝王切開で使用されるお薬と同じです。
大切な赤ちゃんへの影響はありませんので、必要に応じて、うまく麻酔を使い、快適な治療を受けましょう。
心配でしたら、麻酔薬の名前をお教えしますので、産婦人科の先生に相談してみてくださいね。
レントゲンはもちろんだめ?
お薬はどうしたらいいの?
妊娠中でなくても、お薬は飲まないですむ方がいいですよね。しかし、痛いとき・膿んでいるときなど、お薬を飲んだほうが良い場合は、妊婦さんでも安心なお薬を処方します。
場合によっては、産婦人科の先生に処方をお願いしています。
決して痛いからといって、市販のお薬で抑えることはしないでくださいね。
歯はいつできる??
歯がいつできているかご存知ですか?
最初に歯が生えてくるのが、生後8ヶ月くらいです。この頃の歯は妊娠7週目ででき始めています。
さらに、一生使う永久歯の歯の芽は、なんと妊娠3~4ヶ月目頃からでき始めているんです!
歯が作られているのは、まさに妊娠中の今です!丈夫で強い歯にするためにも、今、色々なものを食べましょう。歯はカルシウムだけではできません。
良質のたんぱく質、ビタミン、リン・・・様々な栄養素が欠かせません。
今から健康な歯を育てましょう!
最初の分かれ道は2才7ヶ月
授乳中の治療は安全?
母乳と歯並び
母乳と歯並びの深い関係をご存知ですか?
哺乳瓶からとおっぱいからあげる母乳の違いは、赤ちゃんの飲み方にあります。
哺乳瓶を逆さにすると簡単に中の水分が出てきてしまいます。軽く吸うだけで飲むことができるのです。
おっぱいからの母乳を飲むとき、赤ちゃんはリズミカルに力強く吸うのがお母さんならわかると思います。
噛むように飲み、舌を使うので、「飲むときの舌の使い方」をこの時マスターするのです!
この「飲むときの舌の使い方」は、歯並びに大きく関係してきます。飲むのがうまくできない子は飲むときに舌で歯を押します。そのせいで前歯が前に出て、出っ歯になってしまうのです。
なので、0才~1才くらいまでの間に母乳で育った子は、歯並びがきれいというデータがあるのです。
しかし、あんまり長い間母乳で育てるのはあまりよくありません!
次の「母乳とむし歯」を読んでみてくださいね★
母乳とむし歯
母乳が原因と言われた!
母乳がむし歯の原因ですと、歯医者さんにいわれたという方も少なくありません。1~2才の時に言われることが多いようです。しかし、むし歯の原因は一つではありません。
こどものむし歯の3大要素は
1.遺伝
2.糖の取りすぎ
3.ストレス
の3つと言われています。母乳が原因と言われるのは、母乳=2.の糖の取りすぎに当てはまると考えられているからですが、1~2才の子は、母乳以外にも色々なものを食べます。
母乳だけで生きているわけではないので、母乳をやめたからといって2.の問題が解決するとは限りません。
ここで大事なのは、「むし歯の本当の原因はなにか」ということ。
たとえば、1~2才の子で、歯磨きが嫌いな子がいます。しなければむし歯になりやすくなりますが、無理やりしても3.のストレスでむし歯になりやすくなるともいえます。
菌が多かったり、歯の質が弱い場合もあります。
こどものむし歯の原因といっても、単純ではないのです。
そこで大事なのが「親子だ液検査」。
この検査で生活習慣や、菌の有無、だ液の質を調べることで、むし歯の本当の理由を調べることができます。
そうすれば本当に母乳だったのか、母乳は大きな問題ではなかったのかがわかります。
母乳はただのご飯ではなく、お母さんとのスキンシップをとる大切な時間でもあります。そしてキレイな歯並びの準備運動でもあります。
自然に、ストレスのない形で卒乳できたら、お母さんも嬉しいですね。
ハイハイクラブってなに?
4才~12才編
フィンランド式むし歯予防
フィンランド式むし歯予防とは、
1.定期的な検診
2.フッ素
3.キシリトール
を組み合わせたものです。
よくむし歯予防と聞いて思い浮かべるのは「歯みがきを頑張ること」と「甘いものを制限すること」ではないでしょうか?
ところが3.のキシリトールは「代用甘味料」で、とても甘いです。フッ素も甘酸っぱく、歯に塗るだけなのでとても簡単です。
この簡単で美味しい予防方法をハートフル歯科では「治療の中心」においています。
キシリトールってなに?
最近はよく聞く「キシリトール」。
しかし、キシリトールがなんなのか、そしてどういう効果があるのか知っている方は少ないのが現状です。
それもそのはず。日本ではキシリトールは約10年前に厚生省に認められたばかり。「ガムに入っているやつ」という認識しかないのも当然です。
アメリカにくらべ20年歯科のレベルが後れている日本の悲しいところです。
キシリトール自体は、フィンランドで 30年以上前から研究され、赤ちゃんや妊婦さんにも安全であることが証明されています。
フィンランドの保健所では、1才半健診でキシリトールタブレットをプレゼントしています。保育園でも、園児は毎日100%キシリトールタブレットを食べるのが当たり前で、むし歯予防に励んでいます。
キシリトールは白樺から作られた「代用甘味料」です。
植物から作られているので、体にも安心。
カロリーは普通のお砂糖の3分の2程度です。あんまり低カロリーではありませんが、吸収されるときにインシュリンを必要としないので、糖尿病の方も安心して取れる甘味料です!
通常、むし歯菌は糖を食べて「酸」を吐き出し、歯を溶かしていきます。
しかし、キシリトールはむし歯菌が食べても「酸」を吐き出せない甘味料なのです。
つまり歯が溶けない、むし歯にならないというわけです。
そして、取り続けることによってむし歯菌たちは悪さをしない菌になっていきます。むし歯菌の性質を変えてくれるのがキシリトールなんです。
フッ素ってなに?
フッ素は安全?
フッ素に関して、不安を感じているお父さんお母さんは少なくありません。
それはそうですよね、ちょっとインターネットで調べただけでも、なんだか怖いことが書かれているホームページがたくさん出てくるのですから。
しかし見ていると、フッ素洗口や水道水に入れる事への反対論が多く、日本ではあまり多くない例を挙げていたり、故意に飲まないと飲み込めないような量で比較をしていたりしているように思います。
フッ素は色々なホームページにもあるように、採りすぎると急性中毒や、斑状歯が出ることが分かっています。
斑状歯に関しては、フッ素がむし歯予防に効く!というのが分かったときのきっかけでもあります。
斑状歯の研究、調査をしていた時に、その人たちにむし歯がないことがわかり、フッ素の研究がスタートしたんです。
斑状歯の原因は、その地がフッ素をとても多く含む地層だったそうで、そこからの水を飲んでいたことだとわかり、そこからフッ素の研究が進み、今では中毒になる量なども分かっています。
お塩は、人間が生きていくうえで欠くことのできないものですが、多く摂りすぎると高血圧等の成人病の原因になったり胃がんの発生を促進します。
たとえ酸素でも、未熟児を保育するとき、保育器の酸素を30%以上にすると眼の網膜に障害が起き失明することがあります。
亜鉛や銅などの金属元素も大量に摂ればさまざまな中毒症状があらわれますが、足りない場合にも亜鉛であれば味覚障害、神経マヒ、精神不安、銅であれば貧血を起こすことから、微量であっても生きていくのに欠かせない元素ということで、最近では粉ミルクに添加するようになりました。
もともと体の中にあって、海産物類やお茶にも含まれている「フッ素」。
正しく使用していただければ、なんら問題はありません。
ハートフル歯科でオススメしている、「ホームジェル」は、寝る前に塗っていただくジェルですが、万が一チューブごと飲んでも急性中毒にはならない量になっています!
せっかくの予防効果。上手に付き合ってみませんか?
もしもむし歯ができたら
だ液検査
だ液検査の効果ってなに?
ハミガキリトミックタイムってなに?
カムカムクラブってなに?
- むし歯について考える
- 年齢別予防
- 治療・検査について