矯正治療と歯科CT

矯正治療への歯科用CTの応用

最近は、矯正治療を受けようと思っている患者さんは、インターネットで調べたり、何軒かの歯科医院を回って話を聞いたりと、あらゆる情報を収集しているようです。患者さんの心理を考えますと、自費治療は相当の出費と時間がかかり、慎重にならざるを得ないと思います。
そのような患者さんに対して「何ができて、何ができないのか」を正確にお伝えしなければ、信用を得ることができないと考えています。

矯正では、成長が終了した患者さんを治療する場合、歯牙は歯槽骨内の移動がメインとなります。たとえセットアップモデルを作ったとしても歯根が歯槽骨内に配列できるのかということは判らないでしょう。
セファロ、パノラマといった二次元画像で、なおかつ実寸ではない拡大された写真と模型抜歯、非抜歯を判定するのは、相当の経験と勘が必要だと思います。それを患者さんに説明すること自体に相当の無理があるし、たくさんのレントゲン模型と診断分析表を見せて「しっかりやっています」とアピールするしかないのです。

CTを撮ってその三次元画像を元に歯牙配列を考える場合は、何が可能で、何が不可能か画像を見慣れれば、今までの勘や相当の経験、難しくてよく判らない診断法が必要ないのが判ってくるとおもいます。
CT撮影により埋伏歯の位置や方向、隣在歯の歯根との位置関係、萌出方向などを正確に把握することができます。 また、大臼歯や犬歯の遠心移動が可能なのか?そして、抜歯部位の閉鎖も骨の幅を計測して行うべきでしょう。
これからはCTを使って確実な診断の基に治療計画を立て確実な処置を行うことが患者さんから求められる時代だと思います。

舌癖があって、ClassⅢの場合、たいがい下顎前歯は歯槽骨から出ていることが多い

埋伏歯の冠歯部が切歯管と接している。切開してブラケットを付ける際に、予め切歯管の位置を確認できる

埋伏歯の歯根が口蓋側の皮質骨を突き抜けている

無理矢理移動させると歯根吸収を起こす。CT画像で埋伏歯の位置、方向を調べ萌出方向を決めないと思わぬトラブルとなる。