「横を向いた親知らず」の抜歯をお勧めする理由
横に向いて生えた親知らずは、時々体調によって免疫力が下がることで腫れたり、痛くなったりします。
その元凶は、親知らずの周りが不潔になっていることにあります。
少しだけ頭が出ている最後臼歯は、歯磨きが届かず汚れが溜まりやすい!
生ゴミを溜めていることになります。
すると、炎症が起こりやすいんです。
急性症状なら、「突然の痛み」となるでしょう。
口が開けにくくなりズキズキと痛くなります。
そんな時には、抗生物質と痛み止めを飲んで対処療法をします。
その後、痛みのない状態に戻ったら再発を防ぐために、抜歯をお勧めしています。
なるべく歯を抜かない様に治療をしていますが、親知らずは悪さをする可能性が高いので抜歯をすることもあります。
もちろん、まっすぐ生えていて虫歯になっていない方もいます。
そういう方には、大切にして欲しいと話しています。
横にむいて生えているが、痛みがなく50歳過ぎまで親知らずを大切にしている人もいます。
「問題が起こらなかったので何もしないでおいた。」→それも普通ですよね。
本当に問題が起こらないのか?起こっていなかったのか。
下記の写真の方は、親知らずを大切に残していた方です。
歯周ポケットが親知らずに沿って深くできています。
レントゲン的には、このような感じでオレンジ色の印の様なポケットを形成しています。(写真とレントゲンは別の人です。分かりやすいようなものを選んで掲載しています。)
ここまで歯周ポケットが深くなると、親知らずを抜歯しても親知らずの手前の歯の後ろ側の骨の回復は、期待できません。
親知らずを抜かなかった為に、手前の歯の寿命を削ってしまうことになりました。
この後更にほったらかしにしていると、強い急性症状が起こるでしょう。
泣いたとしても第二大臼歯がややグラグラするかもしれません。
“若い時に親知らずを抜いておけば良かった”と言うことにしかなりません。
親知らずは移植に利用することもできるので、まっすぐ生えている時は、あらゆる可能性について相談します。
しかし、横に向いている親知らずは抜いても良いと思っています。
僕の親知らずは、真っ直ぐに4本生えていましたが噛み合わせが悪く、顎の症状が出てしまったことを機に抜歯をしています。
“まっすぐに生えていて、虫歯もない、噛み合っている歯”でも抜きました。
状況に応じた親知らずの対応が求められています。
先程の歯周ポケットが深くなった方は、近い将来親知らずとその手前の歯を抜歯することになるでしょう。
インプラントをすることになるかもしれません。
しかし、2本の大臼歯を抜歯すると、上記写真のオレンジ印の大穴を含めると骨がない問題が発生します。
インプラントをするのも時間とお金がかかってしまうことになります。
これが、横を向いた「親知らず」を抜歯する事をお勧めする理由です。
全ては、患者さんの笑顔の為に・・・
下田孝義