第二大臼歯の後ろに歯周ポケットがある場合が多いです。

針を差し込むと、ずずっと8mm入っていきます。

人間の組織に8mmも針が入ったら、大変な痛みになるはず!

それが、痛くないんです。

それは、歯周ポケットがある為に歯と歯肉の間に隙間があるからです。

レントゲンを見てましょう。

歯肉から頭を出さず、埋もれています。よく見ると深く沈んでいます。

CTを撮りました。

親知らずは下歯槽神経に当たっています。

これを無理矢理抜くと麻痺の可能性があります。

前歯科医師から、「危ないから抜かずに置いておこう」と言われたそうです。

ハートフル歯科医院では、「安全に抜く為に、2回法を採用しているので安心してください。」と今回は抜歯に踏み切りました。

2回法とは、前半分を先に抜歯して残りが移動してきたら半年後に残りを抜歯する方法です。

今日はその1回目
親知らずの一部を切り取りました。
見て下さい!



円形の歯石がついています。

これは、手前の歯との接点の周囲が不潔で歯石がついています。

8mmも生ゴミが入る隙間があり、歯ブラシできない環境です。

歯石も溜まるはずです。

歯石とは、細菌の棲家です。

歯周病菌の巣と考えて下さい。

生えてこない親知らずの周りに歯周病菌が棲みついているって事です。

「いつか、きっと痛みを発生させる。」

リスクでしかない。

この親知らずの2回法抜歯は、歯が自然に移動する習性を利用しています。

「移動する=生えようと出てくる力」を利用しています。

生える力がないと2回法は出来ません。

だから、年齢制限があるんです。

ハートフル歯科医院では、35才位と話しています。

萌出に関して個人差があります。

そこで目安でしかないのですが、35才までならこれまでの経験上動きます。(この方は、32才)

動く=安全に抜ける。と診断しました。

親知らずを顎の中で抱えている方は多いと思います。

下歯槽神経が近い、生えていないから抜かない選択もあります。

しかし、将来歯石がどんどん溜まり、周囲骨を溶かし、急な痛みを発生させる。

2本同時抜歯の可能性、下歯槽神経麻痺のリスクを知りながら抜歯に臨むなど、

将来へ問題の先送りでしかないと僕は思っています。

僕の親知らずは、35才の時に4本とも抜歯しました。

もうありません。

おかげさまで、抜いた後の穴もキレイに塞がりました。

回復が遅い可能性もありますね!

年齢がいくと、親知らずが骨化(アンキローシス)して、抜きにくくなることもあります。

やっばり、見えてない親知らずは抜いても良いと思います。

移植などを将来検討する場合もあります。
(まっすぐに生えている方は、残しておいても良いと考えます。)

親知らずが下歯槽神経にからまっていてどうにも抜けない場合も触わりません。

親知らずは、生え方によってどうしたら良いか相談するようにしています。

このブログは、単純に見えていないから抜かなくて良い、とは思わないという内容でした。

全ては、患者さんの未来の笑顔のために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科