マイクロスコープによる診断
最近はマイクロスコープを歯科医師だけでなく、歯科衛生士も使用する時代となった。
歯科医療の標準的な装備となりつつあることを示唆している。
マイクロスコープはどうやって使うのだろうか?
治療に使うにはミラーの反転画像を見ながらになる為、難易度が上がる。
そこで、マイクロスコープを使用した治療説明の具体的な画像をお見せしたい。
まずは虫歯だ。
1.歯と歯の間の虫歯を見つけたらマイクロスコープで画像を撮影し、お見せする。
この黒い点を手鏡で見せることは至難の技と言える。
マイクロ画像を写メして持ち帰ってもらうのも良いだろう。
インスタやツイッターなどで話題にしてくれるかもしれない。
2.この虫歯はどうだろう。
いつも使っている表現だ。
「障子の裏の人影」
もう障子という言葉が古いだろうか。
一見何もなさそうだが、中から虫歯になっている。
3.これも虫歯だ。
黒い点はどこにも見当たらない。
白いセラミックの下に針を刺すとズブズブとはいり込んでいることがわかる。
白い歯の中に虫歯ができているのだ。
レントゲンには写らない。
この白い歯は、ハートフル歯科医院ではほとんど取り扱わない「メタルボンド」というセラミックだ。
メタルボンドは、金属の表面にセラミックが焼き付けてあるので見た目は白いが、内部の金属がレントゲンを遮蔽して内部のむし歯は見えない。
更に神経治療をされているので痛みも感じない為にむし歯の進行の発見が遅れる事が特徴だ。
マイクロスコープを用いて、メタルボンドの境界線を探るとむし歯の入口を見つけることが割と早く出来る。
肉眼よりも20倍などに拡大する事でより小さなヒントを得る事が可能だからだ。
4.これは、親知らずのレントゲンの画像だ。
赤いV字は、歯周ポケットを意味している。
痛みはまだない。
これって
放っておいて良いのだろうか?
見て頂きたい。
赤丸の下に、針の器具が1cm近く入っていく。
そこには隙間があり、食べカスがいつも詰まっている状態だ。
この状態で放っておくと、生ごみが原因でむし歯、歯周病、親知らず周囲の痛みなど引き起こす。
親知らずは、現代の食生活に置いてなくても困らない歯だ。
まっすぐ生えている歯は残しておくこともあるが、手前の歯への悪影響を考えて抜歯をオススメしている。
35才までに抜歯をオススメしている。
歯の抜き方が少し違うからだ。
(詳細別記)
5.歯牙の破折
歯は神経がないと破折しやすくなる。
もちろん、生きている歯も割れる事がある。
人生が50年→100年になろうとしているなか、臓器や歯の耐久性が上がっているわけでもないので諸問題が発生することだろう。
それが「歯のすり減り」と「破折」だと思う。
歯で毎日食事をすれば減るし、強い力がかかり続けているので、金属疲労のように破断することもある。
そのヒビをいち早く見つける事もマイクロスコープの役割だ。
歯のヒビは、眼を凝らさないと見えないもの。
ましてや、奥歯だと薄暗いので見えない。
金属の詰め物、金属心棒、歯ぎしりなど力に関わる問題で歯にもヒビが入ってくる。
その時には、神経治療、噛み合わせ調整、金属の詰め物、被せ物の変更などが必要です。
6.フィステル(歯のニキビ)の存在
神経治療されてる根に膿を持つ場合や、何かの原因で歯が死んでしまい腐ってきている場合など、膿の出口が歯肉に現れます。
「フィステル」と言います。
レントゲンなど複雑に審査する事で原因の診断をしていきます。
まず、フィステルの存在をお知らせする必要があります。
「奥歯の歯肉にできたニキビのようなものは膿の出口」そこからは、いつのまにか膿がドロドロと出ています。。気づかない程度に。
それを毎日食べていると考えると、ちょっと怖いです。
フィステルを見つけたら、治療する事をオススメしています。
ハートフル歯科医院では、初診やメインテナンスで口腔内の小さな変化を見つけられるようにマイクロスコープを導入しています。
必要に応じて、画像や動画に収めて患者さんに現状をお伝えしています。
前歯ならともかく、奥歯で手鏡を使ってもちゃんと見えているのか?伝わっているのか?お互いに確認のしようがありません。
しかし、画像を見せるとそのデータが残り記憶にも定着します。
治療の必要性や現状把握など確実に理解が進みます。
診断に不安があれば、マイクロスコープの完備された歯科医院を受診するとわかりやすい説明が受けられるかもしれません。
全ては、患者さんの笑顔の為に・・・
下田孝義