歯肉縁下のむし歯
セラミックの下に虫歯ができてしまいました。
そもそも歯肉縁下にビルドアップという処理をしていた歯だったので、余計に歯肉縁下の歯質は今や残っていない!
レントゲンを見ると、青線のようにむし歯が進行しています。
レントゲンでとれた歯を見てみよう。
青線の部分の歯が見えなくなっている。歯肉が被って、その下深くまで歯質はありません。
また、その周囲にはむし歯もあるでしょう。抜歯やむなしか??
ご本人からどうしても残してほしいと懇願され、やるしかない。と!
方法はあります。
〜歯肉の根先側移動術(通称APF )〜
患者さんの希望を叶えるべくレントゲンを見直します。
根が意外と長いです。
少しぐらい浅くなっても咬合に耐えられるだろうと。
残せるかどうかは、歯肉を開いて虫歯の進行を確認しないと難しいですが、歯肉を開いてみました。
分かりにくいと思いますが、むし歯を除去した歯と骨が同じ高さになっています。
本当は、明らかに歯が飛び出ているものです。
これでは、歯は作りません。
骨と歯肉、歯の高さは決まっています。
“生物学的幅径”といいます。
歯肉の厚みは、2mmなのです。
「骨の上に3mmの歯肉があり、歯が飛び出ている。」という関係です。
結局のところ、骨を削除して3mm歯が飛び出てくれば良し!という法則です。
骨を削除して、歯を3mm露出させました。
歯肉の厚みは、自然の削られた位置から生物学的幅径に沿って治癒してきます。
その治癒を待って、新しい歯を作ります。
実際には、歯肉も少し下げた位置にしたいのでガーゼを長めに噛んでもらいます。
噛んでいるガーゼの下の歯肉は、血がのり薬になり骨とくっつきます。
歯肉が3mm下がると、歯ブラシがしにくくなるのが問題点です。
しかし、歯肉よりも歯が出てくるので、新しい歯も接着します。
この歯にとっては、サードチャンス。
これが最後になるでしょうから、患者さんには、磨きにくくてもしっかり歯ブラシをしてもらうしかありません。
歯肉よりも歯が、虫歯や破折でなくなってしまった場合は、ミニ矯正とこのAPFで解決の糸口を探します。
あきらめないでください。
まだまだ、歯を残せるチャンスが残っています。
まずは、診てもらいましょう!
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義