新しい知見 「智歯切断術」
臨床応用顕微鏡歯科学会に参加して、すぐに活かせる話がありました。
智歯抜歯に関して新しい治療の流れです。
「55才男性 親知らずのむし歯で抜歯希望」の方です。
CTの結果、赤線の下歯槽神経と交差していることが分かり「えい、やぁ」とやりたいところですが、リスクを考えると抜歯をしないという選択になるのか?
むし歯が大きく、もうすぐ痛みが出るでしょう。
大学病院に送っても、歯を安全に抜いてくれるわけではありません。
そこで、昨日学んだ智歯切断術を即実践してみました。
親知らずのむし歯で、下歯槽神経が近い場合、35才以下の若年者では、二回法の抜歯を行なっています。
しかし、40才以上の人ではリスク覚悟で「えい、やぁ」と抜くしかありませんでした。
ですが、智歯切断術について理解できたので対処法が変わります。
歯肉を剥離して、歯をよく観察してみます。
エナメル質の位置が重要です。
普段の抜歯であれば赤線の位置で切断するのですが、年配の方の智歯抜歯では紫線でやります。
エナメル質が残らないように掘り込む必要があるということです。
必要に応じては、ピエゾやストレートのラウンドでエナメル質を全て削り落とします。
残存エナメル質がなければ 骨内に屍のように横たわります。
動けば抜けるし、動かなければそのまま沈めちゃいます。
当日は、パノラマレントゲンを撮って終了します。
投薬や麻酔後の注意事項は、お忘れなく。
その後、経過観察となります。
レントゲン写真を撮りながら、経過観察をしていくつもりです。
1.歯が移動して抜けるようになる
2.歯をそのまま埋没する。
(船の処分をする時に、沈没させるようなものですね。)
3.理想的には、エムドゲインを入れて、遠心の骨を積極的に再生させる。
2.3共に、骨内に沈ませることになります。
神経麻痺よりもマシで、骨に埋もれたら、それでokです。
埋もれていると、7番は遠心カリエス、ペリコ、歯周病になりません。
勉強すると学びは大きいですね大きいですね!
生涯学習の大切さを50才を過ぎて痛感しています!
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義