ウィーン(オーストリア)、インプラントオペ研修に参加してきました。
大学を卒業して、18年目。
40歳を超え歯科医師として自信を持ち毎日の臨床を行えるようになってきました。
そして、30歳過ぎ、インプラント手術を少しやらせてもらえるようになった時の気持ちを思い出します。
「サイナスリフトがやってみたい。」
「前歯に審美的なインプラントができるようになりたい。」
漠然と自分の歯科医師としての技術的な憧れというか、叶わないだろう目標を持っていました。
(サイナスリフトは、上顎の骨が薄い時に行うテクニック。)
当時、サイナスリフトは、大学病院と一部に開業医の先生しか行われおりませんでした。
本にもなっていない状態、口伝え、海外でセミナーなど受けた一部の先生が行っていました。
前歯のインプラントは、「きれいにできない。すぐに歯肉が下がってきて問題が起こる。」
と語られていました。
10年の時を経て、学会では、そのテクニックが語られ、僕も含めて多くの先生方が行えるようになりました。
しかし、まだまだ一般的では、ありません。
僕も30歳の時に、叶わぬ夢と思われた、この治療が、普通に行えるようになりました。
日々の研鑽が自分を大きく成長させてくれたのです。
しかし、開業して、7年目に入り、インプラント手術も自由自在に行えるようになったような気がする。
そんな「自分に違和感を感じる」ようになったのも最近です。
開業医は、自分ひとり! 自信を持って治療に望まなければならないのも事実です。
しかし、自信を持ちすぎること“過信“、それが違和感だったのです。
今回世界に目を向け、ウィーン大学の口腔外科エバート教授、
ドイツのフライブルグ大学元教授でカムログインプラント開発者のキリシュ先生に、
インプラント手術の際の細かなテクニックの数々を学び多くの発見がありました。
一番、感じたのは、低侵襲(腫れない、痛みの少ない)、より確実な縫合、早期治癒を促す。
そのために、骨膜(骨と歯肉の間の組織)骨の血流を従来の手術よりも繊細に考えて、治療を行っていたことです。
そのセミナーは、限定20名 日本人枠3名 世界中の歯科医師が受講されていました。
世界中の歯科医師に注目されている二人から、直接、指導を受けることができたのです。感動です。
手技の方は、今日からの手術などで生かせる内容でした。
その内容は、全編ビデオ撮影させていただけたので、もう一度確認したいと思っております。
ビデオ撮影OKの研修は、本当に珍しいのです。
「各国に技術を持ち帰り、伝え、正しい手術を行って欲しい。」という心優しいメッセージが込められています。
驕らず、謙虚に歯科医療に取り組む姿勢について、自ら反省することができたのが一番の収穫です。
エバート教授、キリシュ先生には、本当にお世話になりました。
謙虚な姿勢。日々の努力。忘れない初心。
初心を忘れないという思いから付けた、「医療法人徹心会」という名前に負けないように、診療に励んでいこうと思います。
1週間という長い期間、安心して研修に行ける環境を作ってくれるメンバーに感謝します。
診療を休みしてご迷惑をかけた方も多かったかもしれませんが、
今後のハートフル歯科で、この経験を大きく生かしていこうと思います。
理事長 下田孝義