近年、保険適用の拡大によって、CAD/CAM冠という「白い被せ物」が広く普及しています。

見た目が自然で、金属を使わないというメリットがある一方で、

  • 外れやすい
  • 欠ける
  • 再着しても、脱離を繰り返す

といったケースも少なくありません。

実際、先日も
「大学病院で1年前に装着したCAD/CAM冠」が脱離した患者さんが来院されました。

CAD/CAM冠は“接着”が難しい材料です

CAD/CAM冠で使われる硬質レジン系材料は、

実は「接着」が非常に難しい材料です。

理由の一つが、

“未重合層が存在しない”

という点です。

通常、レジン同士は未重合層を介して化学的につながります。

しかし、CAD/CAM冠に使用される工業製品化された硬質レジンブロックは、高度に重合されているため、未重合層がほとんど存在しません。

そのため、

  • 表面処理
  • サンドブラスト
  • プライマー
  • 接着性レジンセメント

などを適切に使用しても、

実際には「一部のフィラーにしか接着していない」状態になりやすいのです。

つまり、

“見えないレベルで、接着の土台そのものが弱い”

という構造的問題を抱えています。

→接着しないから、割れる、外れる、中に虫歯ができやすくなります。

オールセラミックは「シランカップリング反応≒接着」が成立する

一方、オールセラミックは材料学的に大きく異なります。

セラミック系材料には、

シランカップリング

が有効に作用します。

シランカップリングは、

  • セラミック表面
  • レジンセメント

を化学的に結びつける役割を持ちます。

つまり、

“材料同士が化学的に結合する”

ため、長期安定性が高くなります。

もちろん、

  • 適切な表面処理
  • 防湿
  • 接着操作

は必要ですが、

材料学的に「接着できる土台」があることが大きな違いです。

接着歯科で最も重要なのは「防湿」

どれだけ良い材料を使っても、

  • 唾液
  • 湿気
  • 出血

があるだけで、接着力は大きく低下します。

そのためハートフル歯科医院では、

  • ラバーダム
  • 吐く息の湿度管理
  • 唾液排除の徹底

など、接着環境を非常に重視しています。

接着歯科は、

“材料だけで決まる世界”ではありません。

むしろ、

「どれだけ接着環境を作れるか」

が長期予後を左右します。

ハートフル歯科医院がオールセラミックを推奨する理由

私たちは、

  • 見た目だけではなく
  • 長期安定性
  • 再治療リスク
  • 歯の寿命

を重視しています。

そのため、

接着の不安定さが残るCAD/CAM冠は取り扱わず、

より長期安定性の高い
オールセラミック治療を推奨しています。

歯科治療は、

「今白くすること」

ではなく、

「10年後も機能していること」

が本当の価値だと考えています

下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科