フッ素の働きとむし歯予防への効果〜フッ素は危ない?〜

こんにちは!ハートフル総合歯科グループの歯科医師、稲田英里子です。

今回は、フッ素の働きとむし歯予防への効果についてご紹介します。

フッ素の働きは以下の4つが挙げられます。

①歯の修復を促進する(再石灰化)

フッ素は歯の再石灰化を促進し、歯の修復を早める働きがあります。

②歯が溶けるのを遅くする

フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸による溶解を抑制することで歯の溶けるスピードを遅くします。

③歯のエナメル質を強くする

フッ素は歯のエナメル質を強化し、歯を強くします。

④細菌の活動を抑制する

フッ素は口腔内の細菌の活動を抑制し、むし歯の原因となる酸の生成を防ぎます。

これらの働きによって、フッ素はむし歯の進行を遅らせることができます。

フッ素の効果を十分に得るためには、フッ素入り歯磨き粉を使用してブラッシングしたり、フッ素入りのうがい薬(ミラノール)を使用することで、お口の中にフッ素を保つことが必要です。成人において、フッ素濃度1,000ppmで約23%1,500ppmで約30%のむし歯予防効果が期待されます。

フッ素は、歯が届きにくい部位にも有効であるため、子供から高齢者まで幅広い年齢層の方に使用されています。実際に、世界では15億人以上がフッ素入り歯磨き粉を使用しており、日本でも2020年において歯磨き粉の92%がフッ素入りと言われています。

フッ素は危険なの?

フッ素は多量に摂取すると中毒を起こすことから、フッ素に対して危険なものであるというイメージを持つ方もいますが、

フッ素の推定中毒量(PTD)は、過去の過剰摂取による事故例から推測されており、フッ素の安全な許容耐量を5mg/kgと推定しています。

一番フッ素を大量に飲み込みやすいのはフッ素入りのうがい薬ですが、

例えば保育園や幼稚園で使用される週5回法や週1回法の洗口剤の実際の使用では、フッ素の飲み込み量は非常に少なく、推定中毒量のおよそ75分の1から100分の1程度です。フッ素洗口や歯面塗布による中毒例は報告されておらず、安全性が確認されています。

万が一全部飲み込んだとしても、推定中毒量のおよそ10分の1から20分の1とされており、むし歯予防のフッ素使用での中毒例は知られていません。長年、実施されてきたフッ素歯面塗布や近年、普及が著しいフッ素洗口での中毒例はないということです。

(仮定の話ですが、例えば4歳の子どもが大きさ中(65g程度)のフッ素配合歯磨剤(1,000ppm)を1本食べた(フッ素摂取量65mg)といった場合、

カルシウム含有の飲料(牛乳等)を与え、数時間経過観察します。

上記の例より飲み込んだ量が多い場合は、入院加療が必要で、嘔吐させ、カルシウム製剤を投与します。)

むし歯の予防には、定期的な歯磨きと適切なフッ素の使用が不可欠です。ぜひ、日常の口腔ケアにフッ素入り歯磨き粉を取り入れ、健康な歯を保つための予防策として活用してください。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科