失活歯を利用した歯牙移植①
みなさんこんにちはハートフル総合歯科の野田裕亮です
この写真を見てください!
銀歯がたくさん削られているのがわかりますか?
噛むと痛みが走るからと何度も噛み合わせの調整をされています
レントゲンを見ても真っ二つに歯根が折れてしまっています
これでは残念ながら保存することができません
歯肉付近を見ても割れ目が見えてますよね
今回はこの歯を抜歯して奥の親知らずを移植し
歯を残す計画を立てました
今回からのシリーズでは失活歯(神経のない)ドナーの歯牙移植をお送りします
まずは保存不可能歯の抜歯を行います
抜歯をした状態がこちら
歯を抜くだけでなく
炎症性組織も残さずに綺麗に除去していきます
これが抜歯した歯と炎症性組織です
これらを取り残してしまうとどんどん骨吸収が進んでしまいます
綺麗に除去をして歯肉を回復期に向かわせ「抜歯後待機移植」を行います
移植の方法には2つあります
一つは抜歯をしたその日に移植歯を移植する「抜歯即時歯牙移植」
移植床のダメージが少ない場合はこの抜歯即時歯牙移植を選択することが多いです
手術が1回で済み、移植床に残存する歯根膜も生着につながることからできるだけ即時移植を行うことが望ましいと考えています
もう一つの方法は抜歯を行って移植床の歯肉の治癒を待ってから移植を行う「抜歯後待機移植」
移植床の炎症によるダメージが大きかったり、移植床よりも移植歯が小さい場合は生着不良の原因になる可能性があるのです
その場合は抜歯をして移植床の歯肉が塞がるのを待ってから切開し移植、治癒した歯肉で移植歯を緊密に縫合する方法が望ましいと考えています
今回は保存不可能歯の炎症が大きいケースだったのでまず抜歯を行い、歯肉の治癒を待つ「抜歯後待機移植」を選択しました
抜歯後に待つ期間はおよそ4〜9週間
これ以上待ちすぎると移植床の歯槽骨が吸収を始めてしまうため、
歯肉が治りつつも骨吸収が始まらないベストなタイミングで待機移植を行うことが望ましいと
考えています
そのために抜歯を行う前に事前に抜歯をのおおまかなスケジュールについても立てながら
手術を行なっております
もちろん傷の治りには個人差がありますのできっちり9週間以内でなければならないということではありません
患者さんのスケジュールと傷の治りを考えながらオペのスケジュールを組んで行なっております
本日はここまで
もし歯が保存不可能と診断されたとき、もしかしたら「歯の移植」があなたを救うかもしれません
次回は移植手術編をお送りいたします
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・