〜CEREC MC XLの限界を超える応用力とは〜
今日は、ワンデージルコニア治療の本質と、セレックの可能性を限界まで引き出す私の取り組みについてご紹介します。

■ ワンデージルコニアとは
それはセレックMC XLの「機材性能の限界を超えた応用」によって実現される、“1日で完結するジルコニア補綴”のことです。

■ まず「メーカー推奨使用範囲」とは?
これは、シロナ社が設計・保証する標準的な使い方を指します。
たとえば当院で使用している CEREC MC XL の場合:
・本来は ウェットミリング専用(冷却水を用いた切削)
・対応素材は e.max をはじめとする ガラスセラミック
・ジルコニアは「削れなくはないが、非推奨」
その理由はシンプル。
ドライでジルコニアを削ると、削りカスが本体に詰まり、故障リスクが高くなるためです。

■ なぜあえて「ドライミリング専用機」に?
僕に言わせれば、ドライで使うなら、ウェットに戻さなければいいのです。
1000万円もするMC XLをドライ専用で使おうなんて、CAD/CAM愛が強すぎる歯科医師にしかできません。
全国探しても、「西の巨匠」と僕くらいでしょう(笑)

■ 「限界を超える応用力」とは?
それは、本来メーカーが想定していない用途を、自院の技術と情熱で実現する力のことです。
たとえば当院では:
・MC XLをドライ専用機として独自運用
・RPM調整やブロック選定による最適な削り条件を構築(最短5分で切削完了)
・多層ジルコニアブロックとの色調マッチング検証
・粉塵や削りカスの処理対策を講じて連続稼働にも耐える運用
・高速シンタリング炉との連携により、最短2時間での装着が可能

■ なぜそれが「限界を超えている」と言えるのか?
・セレック=レジンやe.max専用という常識を打破
・強度・審美性を兼ね備えたジルコニア補綴を1日で提供
・破折しやすいセラミック補綴からの脱却
・MC XLを3台所有し、1台をドライ専用化
・メーカー非推奨領域でも、安定した臨床結果を出している

■ ハートフル歯科の体制
当院ではMC XLを3台体制で稼働:
・2台はウェット(e.max中心)
・1台は完全ドライ専用機
この運用は、個人歯科医院では極めて珍しいと思います。
また、ジルコニアのミリング・焼成・装着を院内で完結できるチーム体制と設備が整っていなければ実現は困難です。

■ 未来を見据えた技術への挑戦
確かに、ワンデージルコニアは全国的にはまだ普及していない技術です。
ですが、私はこの運用を通じて、未来の歯科医療のあり方を探求しているのです。

全ては、「患者さんの時間と笑顔」を守るために。

デジタル技術は進化し続けます。
その最前線を、これからも走り続けていきたいと思っています。

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科