こんにちは。ハートフル総合歯科グループの歯科医師、遠藤和樹と申します。

本日は前回の続きで、VPT治療の実際の症例を見ていきたいと思います。

前回のブログで、治療手順は
1、VPTの適応症か診断
2、感染象牙質、歯髄の除去
3、歯髄からの出血があることを確認し、その後止血
4、MTAセメントを充填
5、CR充填
6、後日、歯髄反応診断
とお伝えしました。

順に見ていきましょう。
1、 VPTが適応できるか診断
術前に大切なことは、そもそも歯の神経がまだ生きているかどうかです。
そのためには、自発痛がないこと。また、歯髄電気診で生活反応があることが大切です。
そもそも歯の神経が死んでしまっていては、根管治療の適応となります。

2、 感染象牙質、歯髄の除去
歯の神経が生きていることが確認できたら、治療に入ります。
一般的な虫歯治療と同様に、虫歯を除去していきます。

3、歯髄からの出血状態の確認
虫歯が歯の神経に達したときに、神経からの出血度合いを見ることが大切です。

理想的な状態は、出血があり、止血が可能なことです。
写真のように、薄ピンク色の歯髄が見られれば合格です。

出血が全くない時は、歯の神経が死んでいると診断されます。
逆に、出血があっても、いつまでも出血が止まらない場合も、その神経は炎症が強すぎるため保存することができません。

4、 MTAセメントを充填
VPT適応となった歯髄の上に、MTAセメントを敷き詰めていきます。

このときに、歯の神経に細菌の感染を起こさないことが大切です。
ラバーダムシートを使い、感染を抑えます。

5、 CR充填
MTAセメントの上に綿球、キャビトン(仮封)、CRを充填します。
このとき、微小漏洩がないように、しっかりとCRで封鎖していきます。

6、 後日、歯髄反応判断
後日、歯髄の生死を歯髄電気診で診断します。
歯の神経が保存できたことが確認できたら、キャビトンやCRなどを取り除き、セラミックでかぶせものをしていきます。

今回の症例では無事に神経を残すことができました。

1 dayセラミック治療をして、終了となります。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科