痛くない噛める入れ歯を考えるその①
入れ歯って痛い!
そうよく耳にする理由を大学時代に学んだことと、今理解していることとの間の矛盾で考えていく。
今日は、歯科医院で使われるレジンと言われるプラスチックについて考察していきたい。
白いプラスチックは、仮歯や入れ歯の歯の部分に使う。
ピンクのプラスチックは、入れ歯の床に使用する。
両方ともレジンと言われる材料である。
粉と液を混ぜて、硬化すると形を作ることができる材料だ。
仮歯や入れ歯だけでなく、下記の写真は、入れ歯の噛み合わせをとる咬合床と言われる道具を作る時にも使われる。
入れ歯の型を取り、咬合床は、石膏模型上ではエンジのプラスチックと赤いワックスで構成され作られる。
レジンの特性は、硬化すると収縮すること。
0(ゼロ)収縮ということはないが、収縮量は約2%
これが大きいのか?小さいのか?
どうだろうか。
この写真の青い丸を見て欲しい。
少し隙間が空いている。
エンジのプラスチックが収縮して硬化時に反ってしまい、浮いてしまったのだろう。
もちろんこれを作った歯科技工士は、真剣に石膏模型に合わせて圧接したと思う。
しかし、プラスチックの収縮には勝てずに隙間が空いてしまっている。
これが事実だ。
入れ歯は、プラスチック製。
そのプラスチックが、変形するとしたらうまくいくわけがない。
それが入れ歯の作りの最大の問題だ。
仮歯を作る時も、収縮して途中で前歯が入らなくなるなど日常的に経験する事実だ。
それをコントロールするのが上手い敗者への近道だと思うが、仮歯なら1cm程度で変形も少ない。
入れ歯になると、直径7cmくらいある。
その変化は、大きくなるほど著しく影響する。
入れ歯の場合は、辺縁が内側に食い込んだり、ヘリが反ったり、人工歯が移動したりする。
辺縁なら2mm反ったり
人口歯なら、0.5mmも移動していることがある。
そんなに型と違うことになれば、もはや型に合っていないということになる。
だから、「入れた瞬間に痛い入れ歯」が生まれてしまう。
どの部位が何ミリ変形しているのか?
人工歯が、どう移動しているか?
分からない。
それをよく見えない口腔内で探さないといけない。だから、難しい。。
プラスチックが変形しなければ状況は一変するはずだ。
ハートフル歯科医院は、CADCAMを使用したセラミックを使って12年が経過した。
金属の鋳造変形をCADCAMを利用して克服しつつある。
かなりゴールが近い。
入れ歯もCADCAMを使って、レジンの硬化時の変形をコントロール出来るのではないかと考えるようになった。
プラスチックは、変形するもの。確かにそうだ。
しかし、変形し終えて硬化したプラスチックを削り出せば、もう変形はしない。
そんな時代がやってきた。
学生時代、低学年の歯科理工学の中でプラスチックの「2%の線収縮」は習うが、
高学年の実習で入れ歯の製作時には、その変形はないようなイメージで学習をした。
そんな刷り込みが行われた。
どっちが、正しいって「2%線収縮」が正解だ!
入れ歯が痛いのは、変形が1番の問題と考える。
もちろん、「型取り、噛み合わせ、調整力」は、歯科医師の腕の見せ所。
アナログな歯科治療は、これからも変わらない。
しかし、型をとって型通りにできなければ、「噛める入れ歯」への道は遠のくばかり。
プラスチックは、硬化時に変形する。
そこを抜本的に見直すことが出来れば、「噛める入れ歯」に近づくことは間違いない!
CADCAMで、そうなる日が近いことを確信している!
このCADCAMの機械に「噛める入れ歯」の未来はあると思う!
詳細は、別記する。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義