痛くない噛める入れ歯を作ろうその④(最新のコピーデンチャー作成時の工夫)
コピーデンチャーの必要性については、理解されたと思います。
これは、コピーデンチャーの作り方に関する工夫です。
ハートフル歯科医院の過去の動画にもありますが、コピーデンチャー(複製義歯)の作り方が近年変わりました。https://www.youtube.com/watch?v=7_5Pz15Eyuw
小坂井先生のYouTubeから切り抜いた写真になりますが、アルギン酸印象で入れ歯を立体的に型取りし、プラスチックを流して作ります。
型取って作るんだから正確かと思いきや、出来上がったコピーデンチャーは、別物くらい変形してしまいます。
理由は、型取り材の変形、更にプラスチックの硬化時の変形
変形×変形=別物 という公式に当てはまります。(笑)
昔は、それでも旧義歯に似ているものができるのでそれを調整して噛めそうなところまで持っていき、最終入れ歯の作製につなげるという方向です。
今考えると、コピーデンチャーはあくまで参考義歯って感じです。
また、調整といっても元々の入れ歯が噛めないなのに、それが製作過程で変形するのであれば更に「噛めない→痛くて入れられない入れ歯」にコピーされていることも多いのでのですから。
改悪と言われかねない状況になります。
改造するのですが、結局大大大改造になってしまうので術者の多大なるテクニックに依存して調整します。
なるべく誰がやっても再現性が高い入れ歯の作成法が僕の好みです。
この問題は、従来のコピーデンチャーの製作方法だったのです。
今は、このようにカメラで撮影することによってデジタル型撮りでコピーをします。
その後、3Dプリンターで、出力します。
・アルギン酸印象→デジタル型撮り
・流し込みレジン(プラスチック)→3Dプリンター
に変化しました。
これは、デジタル型撮り際の工夫です。
上顎の入れ歯は、口蓋ヒダを再現されたものとされていないものがあります。
再現されていないつるっとした入れ歯をデジタル印象しようとするとカメラの撮影範囲がつるっとした面が周囲と重ね合わせできなくなり、うまく立体構築が出来ません。
そこでいくつかのボッチ(黒丸)をつけます。
そんな程度で良いですが、ボッチがないと今のカメラの能力では立体構築出来ません。(最後に研磨してキレイに取り除けます。)
こちらは、口蓋ヒダが再現されている入れ歯です。
赤い丸が口蓋ヒダです。
この小さな凹凸があるとカメラの認識精度が上がり立体構築可能です。
何事にもひと工夫が大切です!
デジタル化されたコピーデンチャーは、“撮影による立体構築像の取得”と、“3Dプリンターによる精度の高い出力”によって作られます。
従来と比較して、高精度のコピーデンチャーの作製が可能になりました。
ほぼ本人の現状の入れ歯と同じものがコピーされます。
コピーデンチャーは、0点(基準点を決め)そこから改善する事でより良い入れ歯作りを可能にさせます。
旧義歯を使って改造してしまうと、今よりも噛めなくなる可能性があります。
旧義歯よりも噛める入れ歯に調整後に新義歯を作ることが出来れば、誰にでも簡単に「噛める入れ歯」が可能になると思います。
未来は、デジタルデンチャーの時代となるでしょう!
全ては、患者さんの笑顔の為に・・・
下田孝義