痛くない・噛める入れ歯 完成義歯の噛み合わせ微調整 その⑲
ロウ義歯やコピー義歯から、完成義歯になると痛みが出る事があります。
・ロウ義歯は、ロウ製なので人工歯が沈むことで、噛むことによる入れ歯の挙動を抑制します。痛みが出にくいです。
・コピー義歯は、本人がなんだかんだ何年間も使用しているので
コピー義歯の噛み合わせは、すり減っていて、デコボコがあまりありません。フラットな噛み合わせは、入れ歯の横滑り防止機能を有しています。
完成前までは、意外と調子良く見えがちです。
完成させると、完成義歯の人工歯のデコボコが噛んだ瞬間に入れ歯を横に滑らせ、痛みを誘発します。噛まないということになります。そこで、「微調整」が必要です。ここは、アナログの時代のままですね。
咀嚼を考えると、デコボコは必要です。(噛み切る・すり潰す)
そこで、完成義歯の調整は、人工歯の噛み合わせが点で噛んでいる物を実際の顎運動を加味して、少し遊びを作る作業となります。
入れ歯の噛み合わせは、上下の義歯が人工歯の斜面の点で当たり、横滑りをします。図1 の星の場所が痛くなります。
上顎の歯は、頬側の山を低くして、干渉させない。舌側の山は、少し鋭利にします。下顎の 噛み合わせの面の谷部分を少し削り、臼状に削ります。図2
上下の人工歯を「杵と臼」の関係にしていきます。
杵が、ちょっとくらいズレても臼の形状でお餅がつけますよね。
こんな絵のような状態です。
杵が少しブレても、臼がしっかりと受けてくれます。
真っ直ぐに力がお餅にかかるので餅つきが成立します。
入れ歯なら咀嚼できることになります。
完成義歯は、顎の運動があまり加味されていません。
デジタル化しても、顎の運動を考慮されません。
未来は、VRで顎運動も再現されるかもしれませんね。
パソコンで配列する人工歯の配列形式リンガライズドと言われる、「杵と臼」のような関係にしています。
完成後に前後左右の顎運動の幅で、遊びを作るように調整するのがコツとなります。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義