痛くない・噛める入れ歯 その㉛ デジタル義歯はPDCAサイクルで作られる
これが1発印象(型取り)の失敗の例です。
歯科医師も大きなミスなら気づきますが、気づかずに治療が進んでしまうのが多いことが問題です。
気泡(青丸)が入ったり、印象用のトレーが粘膜を圧迫(黒丸)していたり、ミスは治療工程のあちこちで起こる可能性があります。
そこで、デジタル義歯では旧義歯のコピーデンチャーを作ることで、入れ歯の治療工程にPDCAサイクルを運用することを可能にしました。
デジタル義歯では、旧義歯の診査診断から始まります。
旧義歯の問題点をヒアリングします。
「痛いのか、外れるのか、噛まないのか?」
大体その3つに該当します。
・痛ければ痛くない入れ歯を作ります。
・外れるなら外れない入れ歯を作ります。
・噛まないなら、噛める入れ歯を作ります。
どうしてその入れ歯に不具合があるのか確認した上で新しい入れ歯の製作に入ります。
その治療計画が正しいかを旧義歯の辺縁、噛み合わせなどを修正しながら確認します。
まずは、旧義歯コピーします。
コピーした後に、口腔内にて試適し、入れ歯の問題点を細かく診断します。
外れるのであれば、入れ歯の辺縁の大きさ、後縁の長さを確認します。
上唇小帯や舌小帯に引っかり、痛いかもしれません。
舌骨付着筋群によって、入れ歯が動いているかもしれません。
一つ一つ原因を確認します。
外れる原因が、後縁や辺縁が短いことだとすれば、そこにプラスチックを追加して入れ歯を大きくします。
そして、口腔内に試適し外れなくなることを確認します。
ここでポイントなのは問題点を探し、改善して外れなくなることをチェックしながら治療を進めることです。
具体的に追加する部分は、色の違う素材を使い、追加しても改善しない場合は、そこを削り取りもう一度追加します。
追加する場所や量を「Try&Error」
何度も繰り返します。
時に、先輩にアドバイスをもらうことで別の視点で改善案が出てくることもあります。
この過程は、一発勝負の型取りとは違い、微小な調整をしながら手探りで型取りを進めていくことになります。
充分外れない入れ歯に治療義歯の形が修正出来たと確信できたら、次の「噛み合わせ取得」に進みます。
どんどん治療を進めるのではなく、一歩ずつ着実に治療を進める事が重要です。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科