歯を削るバーって、1社から100種類位は販売されていることだと思います。

僕が卒業したての頃は、こんなにあって同じに見えました。

「開業したときにバーを選んでください。」と業者さんに言われて困惑したことを思い出します。

昔の院長の好みのバーがあり、その中から選んで治療をしていました。

学生時代は与えられたバーで実習をしました。

そのバーを“選んだ理由とか、種類?どの会社のバーなのか?”

考えたことありません。

開業してからは、自分で選べる立場になり、選択するようになりました。

僕は、いつも論理的な思考で検討します。

どうしてそんな形のバーが存在するのか?例えばどんな時に使うのだろうか?そんな事を空想する。

気になったものは買って、使ってみる。

そうやって16年間やってきた。

今は、使うバーの種類は落ち着いている。

10本くらいあれば困らないかな。

今のバーケースは、使ったら除タンパクして、ガス滅菌。

そして、また使います。

バーケースに、色々なバーが入っています。

今日、ふと気づいたことがあります。

同じ長さのバーが3種類あることに。

青いラインが中央にあると新しいバーの印。新品に近いということです。

昔のものがみんなから使われず、バーケースにひっそりと入りっぱなしではないという事ですね。

最近は、左の太くて長く先端の丸いものが気に入っていてかなりの頻度で使います。

 

1.太いものは、バーの直径が大きい。よって35000回転で高速回転するバーが歯牙と多く接触する為に切削効率が良いです。

忙しい診療室では、よく削れるバーの存在は大切ですね。

細いバーは、取り扱いが難しいです。

大きく面を塗るには、大きな筆を使います。

細かく作業をするには、細い筆を使います。

みんな理解しています。

バーも小さいもの、細いものは、細かなところを調整するのに使います。

金属にしろ、セラミックにしろ細か過ぎると不適合になるので、僕はあまり細いバーは使いません。

 

2.長いものは、歯牙長に依存せず視野が確保されます。

長ければ、削る機械の頭と歯牙が重ならないので歯牙の削り面が見やすく、使いやすいです。

また、被せものを削る時には長さを必要とします。

だから、長いものを好みます。

しかし、奥歯で対合歯とぶつかることもあるので短いバーの存在も重要になります。

インレー形成と言われる、小さく削る場合は、金属にしろセラミックにしろ削る厚みが重要です。

短いバーの半分の深さまで削りましょうという基準を設けることが可能です。

2mmの深さ、2mmの厚みを確保する為の基準を長いバーでは取りにくいものです。

使い分けや特徴を理解すると使いやすくなります。

3.先端の角は、切削効率が高く、削り面の直角が出しやすい。

金属の小さい銀歯は、削り面に直角が必要です。

外れにくくする為にです。

セラミックは、角が丸い方が適合が良くなります。

それぞれ接着機構が違うので考え方が異なります。

歯の根っこに心棒を入れる際にバーで削ります。

角の切削効率が良過ぎると余計なところまで削りそうで怖いのであんまり使用しなくなりました。

先端が丸いと根管内のお薬が柔らかいのでそちらの方に誘導されます。

間違った方向に進みにくいです。

回転数を落とすと、なお切削効率がや悪くなり、薬に沿って進みます。

ここが気に入って、先端の丸いバーを使っています。

セラミックの辺縁は難しく、角があってもダメですがジャンプマージンもダメ。ここらあたりは、説明が専門的になってしまうのでスルーして下さい。

太くて長いバーは、有効で先端の形は角と丸があるがどちらが良いとまだ断言するほど差がないのか。

拡大鏡で削るようになって、いつ久しく。

辺縁の形状は、必要以上に見えるようになる日々。

歯牙を拡大視野で解決できる、先端の丸い太くて長いバーのデメリットは、そこまでデメリットとは思わなくなりました。

先端の角で、太くて長いバーの角の切削効率が高過ぎるデメリットは、対策のしようがありません。

根管形成をする時にヒヤヒヤするのはゴメンだ!

人工的に穴を開ける可能性があります。

複数本のバーを揃えると不良在庫になるから、何本かにシンプルにまとめるのが良し。

バー選びは奥が深い。

結論、僕は太くて長く先端の丸いバーが好きだ!

全ては、患者さんの笑顔のために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科