インプラント治療、とくに「抜歯即時埋入」は、
抜歯したその日にインプラントを埋入する高度な治療法です。

治療期間を短縮できる一方で、

  • 炎症
  • 骨の状態
  • 免疫反応
  • 血流

など、生体側の条件が大きく影響します。

今回は、私たちが大切にしている

「事前投薬の意味」

について、生理学的な視点も交えながらお話します。

抜歯即時埋入は、状態の悪い抜歯予定の歯を抜いた日に植え込みする治療法です。
まさに、抜歯窩=「炎症の中」で行う治療

抜歯が必要になる歯の多くは、

  • 根の感染
  • 歯周病
  • 根尖病変
  • 破折による炎症

などを抱えています。

つまり、今現在

“炎症が起きている場所”

にインプラントを埋入することもあるのです。

そのため、当院では必要に応じて、

  • 抗生物質
  • 消炎処置
  • 術前管理(歯周病の初期治療)

を行い、口腔内全体の炎症をできる限り落ち着かせてから治療を行います。

だから、オペ当日の

「麻酔が効きにくい」時は、炎症が強いサインかもしれません。

歯科治療をしていると、

「麻酔が効きにくい」

症例に出会うことがあります。

これは単なる偶然ではなく、

  • 炎症による局所pH低下
  • 血流増加
  • 神経過敏

などが関係していると考えられています。

つまり、

“生体が強く戦っている状態”

とも言えます。

インプラントは「ネジ」ではなく「生体反応」

インプラント治療というと、

「骨にネジを入れる治療」

と思われがちですが、

実際には、

“骨がインプラントを受け入れる”

という、生体側の反応起こってくれることが非常に重要です。

最近では、

  • マクロファージ
  • 骨免疫(osteoimmunology)
  • 炎症性サイトカイン

など、

「免疫」と「骨治癒」の関係が注目されています。

炎症が強すぎる状態では、

新規で骨を作る反応よりも、

“炎症を続ける反応”

が優位になってしまうことがあります。

骨とインプラントが生着しないと言うことになりえます。

事前投薬の本当の意味

事前投薬は、

単に「感染予防」のためだけではありません。

  • 炎症を落ち着かせる
  • 生体反応を整える
  • 骨が治りやすい環境を作る

という意味があります。

つまり、

“インプラントが生体に受け入れられやすい状態を作る”

ための準備でもあるのです。

私たちが大切にしていること

インプラント治療では、

CT画像や骨量だけでは分からない、

  • 炎症の強さ
  • 組織の反応
  • 血流
  • 骨の質感

なども非常に重要です。

当院では、

「ただ埋入する」のではなく、

“生体が治りやすい環境”

を重視しながら治療を行っています。

まとめ

抜歯即時埋入は非常に有効な治療法ですが、

成功のためには、

「炎症コントロール」

が大切です。

事前投薬には、

  • 感染予防
  • 治癒促進
  • 生体環境の安定化

という意味があります。

インプラントは、
単なる人工物ではなく、

“身体と調和して初めて長く機能する治療”

なのです。

下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科