先日、古い根管治療歯の再治療を行っていた時のことです。

レントゲンでは、昔ながらの根管充填像。

現在のような均一なガッタパーチャというより、どこか不均一で、少し時代を感じる像でした。

すると……

ガッタパーチャを除去したさらに奥から、茶色く変性した「綿線」が出てきました。

綿線根充とは?

現在の歯内療法では、ガッタパーチャとシーラーを用いた根管充填が主流ですが、昔は「綿線根充」という方法が広く使われていました。

これは、

– 消毒薬を含ませた綿線
– FC(ホルモクレゾール)などの薬剤

を根管内に入れ、「殺菌・防腐」を目的としていた時代の治療法です。

昭和30〜50年代頃には、日本でも一般的に行われていました。
僕は、講義で聞いたことしかない治療です。

僕の大学時代は、平成3〜9年です。
過去の治療として学んだ歴史的な治療です。
実際に遭遇することは、なかなかありませんよ。

今と昔の歯内療法の違い

現在の歯内療法は、

– ラバーダム
– NiTiファイル
– マイクロスコープ
– CBCT
– バイオセラミック

などを活用し、

「無菌的に封鎖する」

という考え方が中心です。

一方、昔は

「薬で消毒する」

という考え方が強い時代でした。

それでも長く残っている歯がある

興味深いのは、

– ラバーダムなし
– マイクロなし
– NiTiなし

という時代の治療でも、数十年機能している歯があることです。

歯科治療は、
「理論だけでは語れない」
奥深さがあります。

昔の先生方が、限られた設備の中で試行錯誤しながら治療していたことを感じます。

現代だからこそできる再治療

もちろん現在の基準では、

– 綿線残存
– 根管内リーク
– 不十分な封鎖

は再感染の原因になります。

しかし逆に言えば、

– 徹底洗浄
– 感染源除去
– 精密な封鎖

を行うことで、保存できる可能性も高まります。

古い治療を「ダメだった」と切り捨てるのではなく、

「その時代の最善」

を理解しながら、
現代の技術でさらに良い状態へ導く。

それも、歯科医療の大切な役割だと思います。

過去の治療にビックリすることなく、落ち着いて治療して欲しく、過去と現在を結ぶか架け橋となれると良いと思います。

全ては、患者さんの笑顔のために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科