デジタル義歯のメリット
デジタル化の波は、歯科においても止まらない。
ついに入れ歯にもやってくる。
黒船といえよう。
従来の入れ歯の問題点は、入れ歯のピンクの部分を作る時に変形する。
それに尽きる。
粘土状のピンクの材料を入れ歯の型枠に押し込み、加熱すると硬いプラスチックになる。
その時に2%収縮する。
2%とは、小さそうで意外と大きいもの。
髪の毛一本でも違和感になり、痛みにつながる繊細なセンサーの連なる口腔内では、もはや巨大な段差となる。
すなわち痛みに変わる。
そして、その収縮した変化の先は、
1.入れ歯の周囲で起こり、入れ歯の端っこが痛くなる。ということ。
2.白い人工歯は、既成のものなので変化はしないのだが、その位置が収縮によって移動する。「地滑りが、起きた家」とでも言えば分かりやすいだろう。
この2点が問題となり、入れ歯は合わない、噛めないものになりやすい。
“試適した時は、良かったのに完成すると痛い”
“食事をすると痛”ということになる。
全ては、収縮による変形である。
問題は、「収縮」なのだが、大学教育ではそれを否定されてしまう。
教育内容は、「収縮するが、応力緩和で変形は起こらない。」といった感じである。
硬い石膏の型枠に粘土状のピンクのプラスチックを押し込み、加熱重合する。
硬い石膏に囲まれたプラスチックは、いかにも変形しないように教えられる。
「変形するわけがない!」と錯覚する。
プラスチックが、粘土状→固形に変化する時の変形はない。と誤解した。
そんな「嘘」には、騙されない。
大学教育では、製作過程で膨張収縮を繰り返して、銀合金を型枠に入れて作る銀歯に関しても変形しない。と習う。
それも嘘だった。、
正確な表現をすると、「変形を少なくするテクニック」だ。
その延長線上に入れ歯があり、変形している事実もある。
だから、痛い入れ歯が出来上がるんだ!
入れ歯の作り方も、「変形を少なくするテクニック」と表現してあれば納得する。
昭和の時代に完成された職人技が、入れ歯の作り方として教育される。
「変形しているもの」を「変形していない」かのように教育されている。
「三つ子の魂百まで」というように誤解がとれるには、100年くらいかかるだろう。(笑)
ブログだから、大袈裟に書くが僕の肌感覚ではそう思っている。
金属を鋳造することを諦めて、CAMCAMで歯を作るようになると、変形しにくいことがわかる。
同じように作っても、パソコンで製作したデータのまま出力した方が精度が高い。
令和の新常識となった。
そんな時代背景の中、入れ歯もやっとパソコンで作れるようになる。
それが次の時代の主役だと思っている。
入れ歯の変形をコントロール出来れば、世界が変わると信じている。
「変形」をコントロールすること
→むし歯治療なら予後につながった。
→入れ歯なら、噛めることにつながっていく。
しばらくは、入れ歯の記事が増えると思われる。
「噛める入れ歯の作り方」について紐解いていこうと思う。
これから続く、高齢者社会。
入れ歯で悩む人も多いはず。
入れ歯作りでの様々な問題点をデジタル化で解決して、より「噛める入れ歯」を提供したい思っている。
全ては患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義