下顎の型とりに枠なしトレーを使って、もう10年が過ぎようとしています。

最近は、その型とり方法も少し進化しています。

僕の作った枠なしトレーは、やや小さめ。

小柄のおばあちゃんに合わせています。ワンサイズ!

口腔内では「小は大を兼ねる」僕はそう思っています。

結局のところ、ピンクの粘土を取り出す柄ですから

粘膜に当たりそうな部分は初めから入りません。カットしておきます。

 
内側のアーチが違っていたり、骨の凸凹がある場合は削り取ります。
あんまり小さ過ぎるより、適合を考慮して、カットバックトレーはM.Lが存在します。そして、プラスチック製なので必要に応じて削ることが可能です。
 
 
 
 
このトレーは、下顎の型とり用のトレーです。下顎の頬粘膜、舌の邪魔にならない空間の形を取るのが目的です。なので、トレーが粘膜や舌に触れないように試適します。試適した際に、奥に入りすぎないようにトレーの柄に線を引き、奥に入れる位置や角度を記録しておきます。
 

 
実際に、型をとります。
通常の倍の柔らかさの型取りの粘土を注射器に入れて一気に注入します。その後、別に練った通常の硬さの形取り粘土をトレーにのせて、口腔内に挿入します。
この硬さの違う2種類の形取り粘土を同時に使うことがポイントです。
 
 
 
柄についた線を参考にトレーの位置を調整しながら、粘土を過度に圧接しないように保持します。
 

 
柄の位置が決まったら、下顎の外側の位置を決めます。術者は、両手のひらを患者さんの頬に当て、顎に沿って頬をこすり上げます。そうすると加圧されて外側に押し出ている粘度が、良いサイズまで調整されます。
 
 
 
 
2種類の粘土が、ゆっくり硬化した後取り出します。この型取りは、閉口安静位による、無圧印象と言います。
 
「大きいことは、入れ歯が沈まないから良いことだ!」と大学で習った?気がします。
 
しかし、「大き過ぎると狭い口腔内において違和感があって入れていられない。」
ということにつながります。
 
そもそも、入れていられない入れ歯の原因の一つは、大き過ぎることなのです。
 
そこで、閉口安静時無圧印象とは、口を閉じた時に邪魔にならない空間を把握することになります。
 
口に入れておける入れ歯作りの第一歩。
 
入れ歯を初めて作る方、無くしちゃって元の入れ歯がない人の為の第一型どりとなります。
 
入れ歯の型どりは、痛くない・噛める入れ歯の入り口です。
 
痛くない・噛めるの前に、「入れておける」というのが一つの答えです。
 
「大き過ぎない入れ歯」そんな表現を聞いたことありますか。^_^ 
 
これも入れ歯の大切な条件です!
 
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
 
下田孝義
 
医療法人社団徹心会ハートフル歯科