痛くない・噛める入れ歯 20年前に発行された本からデジタル義歯を考える その⑰
この本は、卒業後にバイブルとして読み込んだ本だと以前紹介をしました。
この本の中で、
「名人を目指した時代から、治療用義歯を使った安全策の時代へ」
と書かれています。
そう、精度の低い治療用義歯の使用を勧めています。
今は、過去の入れ歯を高精度でコピー可能な3Dプリンター義歯が可能になりました。
この表題の内容から更に安全な方向に一歩進んだ入れ歯作りが可能になりました!
この本が発行された20年前よりも歯牙の保存方法が進んだ為、歯周病治療を行うようになり、歯牙移植、再植など医療が進んでいます。
その結果、抜歯のタイミングが変化しました。
それが原因で総義歯を装着する年齢が高齢化して、入れ歯に適応できずに不自由している方が増えています。
お薬の副作用で顎がガクガクして噛み合わせが安定しない方もいらっしゃいます。
また、高度に顎堤吸収が進み、難症例となってしまうこともあります。
入れ歯作製が難しくなる一方で、入れ歯の作り方は50年前からほとんど変化していません。
しかし、この20年前に書かれた本には、治療用義歯を作製する事で安全に入れ歯の型を取り、噛み合わせを見ることが可能になってきたと書かれていました。
治療用義歯は、辺縁の形を何度でも足したり引いたりすることが可能です。
噛み合わせも盛ったり、削ったり可能です。
大きくしたり、小さくしたり、高くなったら、低くしたり。
噛み合わせが安定するまでtry&error で修正し、安定する場所を探すことが出来ます。
入れ歯作りの安全策として提案されています。
しかし、治療用義歯は、コピーとしての精度が低く大改造が必要でした。
それを今では、3Dプリンター義歯で改善し、痛かったり、噛まなかった入れ歯を再現して、それを改良、修正、安定化を図るようにしていきます。
ぐちゃぐちゃに削り倒してしまっても、再生することが出来て、一からTRYすることも可能です。
従来の一発印象、一発噛み合わせ、完成入れ歯と比較すると途中段階で問題がチェックできるので、患者さんも安心して次のステップに進む事が可能です。
デジタル義歯となり、20年前に書かれた本よりも更に安定した入れ歯作りが可能になりました。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義