痛くない・噛める入れ歯 20年前よりも進んだデジタル義歯を考える その⑱
この本から学び、この本からデジタル義歯によって更に進んだことについてまとめていきます。第二弾です。
『治療用義歯や試適後に完成義歯で調整が必要になる理由』
完成義歯になる過程での技工操作=製作作業時に変形して調整が必要になると思っています。
もちろん、治療用義歯と完成義歯の間で噛み合わせが変わってしまうこともあります。
1.噛み合わせが取り違っていて、再度噛み合わせ採取後に、技工所で再調整をする
2.入れ歯が安定して、「下顎位のよみがえり」が起こってしまった場合 (前歯が1cmずれてしまう事がある。)人工歯を取って、再作製する。大きなエラーが発生する。
こう言った大きな技工操作を伴う場合もあります。
しかし、主に歯科医院内での調整が必要になる主な原因について考えていみましょう。
入れ歯の大部分を占めるピンクのプラスチックは、変形するものです。
「プラスチック重合による入れ歯のピンクのプラスチック部分が変形する」
これは事実です!
2%の線収縮は無視できない!
問題視されています。
その変形によって
①入れ歯の周囲が反ってしまう。
②既成の人工歯は変形しないが、位置が移動してしまう。最大0.5mmと言われている。
入れ歯が反っても、人工歯が移動しても試適後には、困る事態となります。
変形=痛い・噛まない
試適の時に調子良くても、噛まなければ意味がありません。
それが入れ歯です。
3Dプリンター義歯も重合済みのプラスチックを削り出す義歯もデジタル化されているので加工時の変形はほぼありません。
変形こそ悪だとすれば、パソコンの管理下で入れ歯をいかに作るかが勝負の鍵を握ります。
0.1の世界。データに変形、変化することはありません。
ミクロ、ナノ全ては、数字の世界。
パソコン上では、正確な値となります。
変形しなければ入れ歯の調整の幅は、限りなくゼロになる、極端な話ですね。
誰が作っても噛める入れ歯が作れるということです!
「ロウの入れ歯より、吸着しない入れ歯」これは、卒業して初めて入れ歯に苛立ちを覚えた瞬間です。
歯科医師として、下手なのはわかっています。
プラスチックを成形する際に変形をコントロールすることこそ、「痛くない・噛める入れ歯」の入口な気がします。
全ては患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義