入れ歯が噛まない理由は、大きく二つあります。

一つは、歯科技工士側の作製工程での問題:入れ歯のプラスチックが変形すること。

もう一つは、歯科医師側の治療工程問題:入れ歯作りの工程が一発勝負でやり直しが効かない、匠の技を要求されることです。

まずは、入れ歯のプラスチックの変形について解決法を考えていきたいと思います。

“プラスチックのベース部分の変形について”

入れ歯は、人工歯とピンク色のプラスチックで構成されています。

既製品の人工歯を配列してピンク色の床部分は、粘土状のプラスチックを硬化させ、研磨して完成させます。

ピンク色のプラスチックは、硬化時にデジタル義歯(3Dプリンター義歯、CAD/CAM義歯)と比較して約2倍の硬化時に変形が見られます。

プラスチック硬化義歯のInjection moldingとは、他のブログに出てくるピンク色プラスチック製の中でも重合収縮(変形)の特に少ない射出成形の作り方です。

そんな従来変形が少ないと言われた義歯の作製方法でもデジタル義歯には大きく変形すると比較されています。

具体的にどんな変形をするのでしょうか。

実験をしてみました。

入れ歯の石膏模型に、ピンクの部分にあたるベースと言われるものを作りました。

適合を見てみます。





どうでしょうか?

3Dプリンター製のベース、CAD/CAM製のベースは、良好な適合が得られています。

射出成形よりも変形の大きい常温重合レジン(入れ歯作りの一般的なプラスチック)で作ると中央部に大きな隙が生じてしまいました。

辺縁が内側に沿ってしまうので、結果的に中央側浮いてきます。



このように内側に反ることで、中央部がに隙が生じます。

このように変形することで、不具合が生じる事が入れ歯の作りの第一の問題点です。

デジタル義歯にすることで技工側の入れ歯製作時の変形問題は解決していきます。



もう一つの問題点は、次回以降書いていきます。

全ては、患者さんの笑顔のために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科