ついにデジタル義歯を口腔内に装着しました!

上顎は総入れ歯、下顎は部分入れ歯となっている患者さんです。

まず、新製した入れ歯をセットする前準備をします。

内面をガーゼでぬぐい小さな凹凸を探します。

そのあと、そーっと口腔内へ。

時に「痛い痛い痛い!」と言われてしまうことがあります。

顎の歯肉の形がのけぞっていたり、骨が飛び出ている時に起こります。

入れ歯の内面をガーゼでぬぐう時、スムーズに入りそうなのかを確認しますが、歯肉の内面の骨の出っ張りが原因で分かりにくい事もあります。

そういった場合は、指で粘膜を触り痛みの場所を探します。

比厚偏位量といいます。

一見、つるっとした歯肉表面の内側にある粘膜の厚みが異なるのです。

粘膜の厚みは、このように厚みが異なります。

骨の鋭縁が内部にあると、そこだけ入れ歯の沈み込みに粘膜が骨と入れ歯に挟まれて痛みが生じます。

歯の喪失時に、骨が尖った状態で治癒してしまうことが主な原因です。

抜歯時即時義歯の装着時にはよくあります。

抜歯時、骨の鋭縁がないかよく触ってから装着します。

抜歯後に周囲骨は、平坦になるように治癒していく傾向が強いので珍しいですが凸凹があることを理解して治療にあたることが大切です。


入れ歯を入れてみました。

すーっと入れ歯が挿入されて、入れ歯を指先でくくっと押すと、ピタッと吸い付きました。

「よし!」と心のガッツポーズ。

患者さんの顔には、「にこやかな笑顔」

はじめての入れ歯の方は、笑顔が少ないものです。

ベテランさんの方だからこそ、入れた瞬間にそのフィット感が分かります。

この「にこやかな笑顔」は、僕らたち歯科医師にとって、至福の瞬間です!

次にカチカチしてみましょうか?と声をかける。

軽くカチカチ→強めのカチカチへ恐る恐る上下の歯を合わせる。

ガチガチガチと噛み始める。
「しめた!」
「噛めそうですか?」
「第一印象は、どうですか?」

僕の定番の質問が飛び出します。

「食事をしないとわからないけど」そんな返事が聞ければ今日は○です。

赤青の噛み合わせを見る紙を噛んでもらいます。

すると1歯ずつ正確にマークがついていました。(安心)



“入れ歯作りの天敵”
プラスチックの収縮による入れ歯の縁の変形、人工歯の移動などがなく、ピタッと入り噛める。

卒業以来、悩み続けました。

入れ歯作りに大きな変換点となるでしょう!

入れ歯作りのデジタル化!

あらゆる分野でデジタル化による恩恵を受けています。

入れ歯作りにも、デジタルの風が吹いてきました。

これからも日々入れ歯作りは続きます。

村岡秀明先生から、指南を受けることで「入れ歯道」は、始まりました。

全ては患者さんが教えてくれます。

良い入れ歯を作ると患者さんが「にこやかに微笑んでくれる」と教えて頂きました。

“噛めない入れ歯だと顔がまがる、すぐに教えてくれる。”
「患者さんが1番の指導者。」と歯科医師3年目の僕に教えてくれました。

何年目になっても、患者さんから勉強させられるものです。

終わりはありません。

僕も今だに勉強中と教えてくださいました。

まだまだ、道半ば。

デジタル義歯になり悩みが解決された部分もありますが、新しい問題が勃発するのが臨床です。

これからも日々研鑽を続け、多くの方と向き合い続けたい!と思っています。

全ては、患者さんの笑顔のために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科