総義歯で噛めるようになる。総義歯の方が健口になる。その1
久しぶりに入れ歯のことを書こうと思います!
下顎に歯が一本だけ残っている方の入れ歯作りに向き合っています。
無圧印象が1回目の来院で、今日が2回目の来院となります。
昔から通ってくれている女性の方で、当院で作った入れ歯の3代目となります。
入れ歯は使えばすり減り、ダメになります。
一生同じ靴を履く人がいないように、入れ歯も使えば減るので新しくする必要があります。
「永遠というのは、妻への愛だけ」とCAD/CAMの恩師はよく言っていました(ネタとして)
この模型は、無圧印象で上下型取りをしたものです。
我ながら上手く取れていると思います。
歯が残っている下顎は、レトロモラーパットと言われる内側に、張り出した柔らかい組織がキレイに型取りできていました。
上顎は、そんなに難しくないので普通に上手く型が取れています。
そんな無圧印象から、閉口機能印象とゴシックアーチ、噛み合わせ(ナソメーターの使用方法)の確認を今日はやる予定です。
入れ歯の師匠が言っていました。
「たまには、休みを潰してでもゆっくり時間をかけて1人の患者さんに向き合ってみるのはどうだろうか?」と。
今日はそんな日としました。
14時から15時半まではお昼休みなので、13時から延長可能な時間帯も予約を取り、1時間で入れ歯の最終型取りと噛み合わせの確認を行いました。
何年かぶりの総入れ歯の処置でした。
ゆっくりと患者さんと向き合えてよかったです。
昔は、公休日に患者さんに来てもらって、楽しみながら入れ歯作りをやっていました。
入れ歯作りの名人になりたくて大学を卒業しました。
入れ歯作りは、アナログだと思われた時代です。
いつしかパソコン好きがこうじて、歯科のデジタル化に興味を持ち、CTや CAD/CAMを扱うようになりました。
セラミックやインプラント治療にパソコンが応用されていたからです。
入れ歯からは開業以来遠ざかっていました。
しかし、一周回って、入れ歯のデジタル化の波がやってきた。
そこで、今回行ったナソメーター法は、従来の入れ歯作りと異なり、勘や技などなく再現性の高いので誰がやっても近似する入れ歯作りです。
〜ナソメーター法〜
閉口機能印象とナソメーターを使用して、噛み合わせ採得を行います。
閉口機能印象とは、今までの型取りよりも、より実際の粘膜、舌、関節の動き、噛んだ時の沈下量を型取りに再現しています。
ナソメーター法とは、噛み合わせの取り方から進化して、噛み合わせを水平的、垂直的に数ミリ単位でその場で調整し、体験と確認してもらうことができるようになりました。
全ては、未来の入れ歯作りのために・・・
その2に続く
下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科