歯を抜くな!MTAで歯を救う
歯の近くにニキビのような膿を持つ方がいます。
痛みは少ないことが多いです。
歯の根に付いた炎症から出る膿が、ニキビからじわりじわりと出てくるからです。
そして、唾液と一緒に飲み込んでいます。
そんな時はまず、銀歯と金属心棒を慎重に除去します。
その後、出血のコントロールが出来たら、根管治療をして出血点を封鎖します。
MTAの登場です。
主役はいつも最後に登場します^_^
ラバーダムなどで唾液(細菌の温床!)の侵入を防ぎながらの処置となります。
マイクロスコープで確認すると歯の中央部にわずかに赤い点が存在します。
グレーのMTAセメントで封鎖してあります。
このあと、硬化まで24時間かかるのでその後に仮歯をつけ、様子見た上で本歯を入れます。
ポイントは5点です。
・ラバーダムなどの防湿操作
・MTAの練り具合の調整
・マイクロスコープ下での手技
・MTAの硬化後に心棒をどうやって作るかを予想しながら行う
・術後感染を予防する仮封
しっかり封鎖されて、3根のうち出血点のある根だけを封鎖して残りには、MTAがこぼれ落ちていないようにしています。
充填のイメージは、上記の図のようです。
今日は同日に2症例あったので、もう一つ掲載します。
この充填後のレントゲンは、まさに図の通りに充填されています。
ストリップパーファレーションと言います。
この場合には、根管壁に沿ってなすりつけるようにMTAを充填しました。
最終的にはこの根管にも心棒を立てられるようにしてあります。
膿が出なくなっても、本歯が外れてしまったら無意味ですからね。
「膿は治ったけど歯が取れるではいけません!」
歯に開いた穴を塞さぐMTAセメントは、歯のパンク修理にたとえています。
唾液の侵入を防ぎ、穴をマイクロスコープで見つけてパンクを修理する。
そして、乗れるように本歯を調整するという自転車屋さんのような仕事をしています。
MTAで歯を救う!
ハートフル歯科医院では、他院で抜歯と言われた歯もできる限り保存したいと考えて治療に望んでいます。
この二本の歯も予後はこれからですが、慎重に観察してきたいと思っています。
全ては、患者さんとメンバーの笑顔のために・・・
下田孝義