痛くない根管治療・歯科治療
痛くない根管治療には、麻酔が大切です。
根管治療中、痛い方には毎回麻酔をしています。
そして、毎回根管治療中に麻酔をするのは、「アメリカンスタイル」というそうです。
ふと思い出してみると、開業前2005年にロスアンジェルスの歯科医院モールに見学に行った時に、根管治療の専門歯科医院で見た世界の中で驚いた事の一つだった気がします。
ロスアンジェルスの根管治療専門歯科医院で驚いたこと3つ!
1.全治療椅子にマイクロスコープが装備されている=マイクロスコープ標準装備
2.MTA治療の存在
3.毎回の根管治療で麻酔をする事
そういえば、この3つに驚きました。
根管治療中に麻酔をするのは、麻酔抜髄と言って、むし歯が大きくて神経を除去しないといけない場合にしか基本使わないのが日本のルールです。
神経の枝葉の取り残しがあった場合に残髄といった時には麻酔を使用し根管治療をする事もあります。
麻酔を使用した神経治療はあんまりやらないのが日本式です。
僕も、開業前は日本式でした。
治療費にあたる保険点数も低く、麻酔薬の金額が加味されていないことも使われない理由の一つと言えます。
しかし、開業した後は経費を気にしないで痛くない治療を心がける様になり、麻酔治療が基本となりました。
痛くない根管治療・歯科治療には、麻酔が必須となっています。
親知らずの抜歯では、さらに伝達麻酔という、特殊な喉の奥の神経を狙った麻酔のテクニックも駆使しています。
「麻酔薬を制するものが痛くない歯科治療を制する」と言っても過言ではありません。
そこで、普段麻酔をする際に気にしていることは、麻酔の注射をする際には、必ず「電動注射器」を使うということです。
これは、むかーし開業前から個人的に買って勤務先で使用していた初期モデルから始まり、その電動注射器にも歴史があります。
電動注射器が痛くない注射の理由は、ゆっくりと注射液を入れるからに他なりません。
忙しい歯科医師が悠長にゆっくり注射なんてしていられないとググっと液を手で入れてしまうので「痛い」のです。
ググッと入れると組織の間に麻酔液が急に入ってくるために細胞と細胞の間が引き裂かれながら注入される為に痛みを伴います。
麻酔液をゆっくり入れるとまずそこが麻痺して、麻痺された所に追加の麻酔をします。
そうすると順次麻酔が広がっていくので痛みが少なくなります。
ゆっくり麻酔をすることが痛くない麻酔の秘密です!
なので、電動注射器は、モーターを使用してゆっくり液を入れてくれます。
その機械式注入にも歴史があります。
第一世代:手で器用にハンドルを回しながら注入速度を変える機械
第二世代:低速、中速、高速の3段階速度設定になりました。
第三世代:自動注入加速機能付き(初め低速で、ゆっくりと入れ、刺入点を麻痺させる。その周囲を麻酔をかけた範囲と麻酔の深さを液量で調整します。)
加速する程度が3段階になって、Hのマークは、早く加速する設定です。
第四世代:麻酔薬を注入する速度がスイッチの押す感覚で、無段階に変化する仕様になりました。
まずは押していない状態、表示はありません。
少しだけ押すと、携帯のアンテナのように、2つの点が現れます。
さらに押し込むと点が4つ
さらに押し込むと、6つ表示されます。「バリ6 」とでも言いましょうか。
最大速度です。
痛みの速度は、個人によって異なります。
顔色を見ながら痛そうなら減速、麻酔が効いてきたら、加速をさせる事が可能になります。
スイッチを押し変える操作をすると片手でうまくできない、刺し直すなど不都合な操作が増えてしまいます。
その操作自体が痛み感覚を生んでしまっていました。
「痛みのない麻酔」には、この「押し分けで麻酔注入速度機能付き」へと進化しています。
手動加速、固定速度、自動加速と三世代に渡り変化してきました。
第四世代は、オンオフのスイッチと速度調整のスイッチが一つにまとまる事で更に「痛くない麻酔のテクニック」が、生まれました。
第四世代の麻酔機は、刺入点からゆっくり麻酔をかけていきますが、患者さん一人一人の痛覚に合わせてゆっくりと注入が可能です。
持ち替えたり、刺し直すなどしないで速度調整が出来る部分が肝になっています。
30年前に「手動の注射」を学んだ際に古い教科書に書いてありました。
「ゆっくり麻酔をすれば痛くない!」
から、進化した四世代電動注射器によって「痛みの少ない麻酔テクニック」が院内でもルール化されます。
先日、痛みに弱い患者さんから、「今日の麻酔は今までで1番痛くなかった。」と聞いて自己分析してみた結果です。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義