仮着剤の量について
仮歯をつけるには、仮着材と呼ばれる接着剤を使用します。
仮着材には、ソフトとハードがあります。
僕は、ソフトが好きです。
何故なら仮歯を着脱する際に、カンカン引っ張る動作が患者さん負担が多いからです。
ソフトの仮着材を使い、ソフトに外す!
これがスマートな仕事。
隣接歯と接着剤で留めるのも極力避けます。
見た目が悪いからです。
仮歯の基本は、
1.内面の適合
2.心棒を仮歯にもしっかり付与する。
3.あんまり噛ませない。
仮歯の用途は、2種類
・見た目用
・噛み合わせの再構築
噛み合わせを再構築する以外は、ほぼ見た目です。
8割くらいは、見た目と言って良いと思います。
だったら、外れちゃいけないんです。
内面、心棒、噛ませない。
この3点をルール化した上で仮着材を使うと考えます!
そうするとソフトでも可能だと考えます。
・逆に内面がスカスカ。
・心棒がうまく作れない
・ブリッジで取れやすそうだと思う
そんな時はハードを使い、隣在歯と接着します。
使い分けが重要だと思っています。
最後に、仮着材の量とフローです。
フローは、粘性とでも呼びましょうか。
粉と液を混ぜて、たら〜と糸を引くくらいが適切な硬さです。
ゴワゴワした状態では、仮歯をつける時に、仮着剤が流出せずに浮いてしまいます。
これは、浮いていたのですぐに仮歯を除去した写真です。
0.5mm以上浮いていました。
中を見ると、分厚い仮着材の層がありました。
仮着材が多過ぎ。フローが悪過ぎです。
適合の良い内面には、特に“ちょんちょん”と仮着材のソフトを付ければ良いと話しています。
ちょんちょんとは、マージン部に一層塗るだけです。
内部にまで仮着材を入れると、流れ出てこなくて浮く原因になります。
特にこの方は、支台歯の背が高く仮着材は抜けにくいと判断。
「維持が強い=外れにくい」から、仮着材は少しで良いと思います。
仮歯作りは、短時間でよりきれいに外れないものを作るのが歯科医師の腕の見せ所。
昔は、「きれいに作り過ぎると患者さんがいなくなる。」とか、言われたこともありますが、「本歯はもっときれいなものが入りますよ。」と期待させるようにしています。
手際の良い仕事は、患者さんから見ても、「できる歯科医師」と思われるでしょう。
プラスチックによる仮歯作り、仮着材の取り扱い、結構 大切です!
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義