アンパンマンの作者の訃報
昨日、ショックなニュースを聞きました。
「アンパンマン」の原作者である
やなせたかしさんがお亡くなりになられた、というニュースです。
アンパンマンは子供向けアニメのイメージが強いですが、
やなせ氏がアンパンマンという物語を通して伝えたかったことは、
非常に意味の深いものでした。
例えば、普通、
勧善懲悪の物語の中では、
「敵をやっつける=正義」
という流れが一般的です。
ところが、やなせ氏は『正義』について このように捉えていました。
「例えばウルトラマンなら、怪獣を倒す。正義が勝つ。」
では、正義というのは、そういうものだろうか?
怪獣には怪獣の正義があるんじゃないか。
他にも正義が、あるんじゃないか。
世界中にはひもじい子ども、
飢えた人がたくさんいる。
もし、正義の味方だったら、まずひもじい人を助けるほうが先じゃないか。
また、やなせ氏は他に
こんなことも言っていました。
「正義とは実は簡単なことなのです。
困っている人を助けること。ひもじい思いをしている人に、
パンの一切れを差し出す行為を『正義』と呼ぶのです。」
この、やなせ氏の『正義』に対する考え方に私は深い感銘を受けました。
たいていの人は、自分の正しいと思うもの、自分の正義を貫きたいと思うでしょう。
しかし、その「正義」というのは
立場によって異なるかもしれません。
自分が考えている正義とは真逆のもの、つまり「敵」をやっつけることが正義では、なく
『本当に大切なのは、困っている人を救う。』ということ。
それは、大切なようで、一番見失いやすい視点だと思うのです。
歯科医院に置き換えてみても
同じことが言えると思います。
色々な歯科医院があって、
色々な医院理念、色々な先生の考え方がある中で、一番大切なことは、なんなのか?
一番大切なことは、自分自身が、正しい医療、正義を守り、
患者さんの痛みや悩みを解決したり、ニーズをくみ取ったりして治療をする。
今よりも良い状態へ、将来に渡り健康、豊かな食生活、幸せな人生へと患者さんを導くこと。
自分のしていることが本当に患者さんのためになっているのか、
自分のしていることが本当に正義かどうか、
ふと立ち止まってしまったときは、アンパンマンの物語を振り返ってみたいと思いました。
やなせたかしさんの
ご冥福をお祈りします。
下田孝義