歯科研修医「マイクロスコープで見る根管洗浄」
こんにちは。ハートフル総合歯科グループの歯科医師、遠藤和樹と申します。
毎日の診療に、マイクロスコープは欠かせません。
本日は、そんなマイクロを用いた根管治療の様子を、「根管洗浄」の手技にフォーカスして紹介します。
根管治療の目的は、根管内の細菌を除去することです。
根管は複雑な形態をしており、ファイルを使用しても、ファイルが根管壁に触れられない場所があります。
そういった場所には、根管洗浄によって細菌を除去する必要があります。
根管洗浄に用いられる薬液はいくつかあります。
次亜塩素酸ナトリウム、EDTA、過酸化水素水などです。
その中で最も多く使われているのが、次亜塩素酸ナトリウムです。
当院でもこちらを使用しています。
次亜塩素酸ナトリウムには抗菌性、組織溶解性を備えていますので、根管内のバイオフィルムの除去や、有機質の除去に役立っています。
では、根管洗浄の様子をマイクロスコープで見ていきます。
洗浄の方法は主に2つです。
1、 シリンジ洗浄
シリンジを用いて根管内に薬液を流し込みます。
上下に動かしながら注入することで、根管内に広く薬液を行き渡らせます。
また、根管内での過剰な圧力の上昇も防ぐことができます。
歯の削片などしっかり流します。
このシリンジ洗浄ですが、根管の先へ薬液が漏れて飛び出さないように注意する必要があります。
2、 超音波洗浄
薬液を満たした根管内に、根管治療用の超音波チップを挿入します。
超音波の振動によって洗浄液がかき回され、小さい気泡が発生します(キャビテーション)。
この気泡が、根管壁のバイオフィルムを剥がす効果を持っています。
超音波の振動を与えると、薬液が濁ってくるのがお分かりかと思います。
薬液は30秒ほどで交換し、また超音波振動を与えます。
これを繰り返すことで、根管内がきれいになり、薬液の濁りも無くなってきます。
マイクロを使って根管の洗浄の操作を見てみました。
拡大視野で見ることで根管内に薬液が満たされていく様子や、振動する状態が把握しやすく、安全に治療が行えます。