こんにちは。ハートフル総合歯科グループの歯科医師、遠藤和樹です。

歯の根の治療である根管治療では、感染した根管内の細菌を除去する処置を行います。
金属でできた針状の器具を用いて、汚れている根管壁をとっていきます。
しかし、手用ファイルによる機械的根管清掃では、根管壁の6割しか汚れをとることはできないと言われています。
そこで大切なのが薬液での洗浄です。

分類としては、「化学的」な洗浄となります。
汚れた根の中に薬液を作用させて、細菌を減らしていきます。
根管治療では主に次亜塩素酸ナトリウムという薬で化学的根管洗浄を行います。

根管全体に次亜塩素酸ナトリウムを行き渡らせるために、
当院ではサイドベントニードルと呼ばれる形態のニードルを使っています。
シリンジの先端は塞がれており、その代わりに側面に穴が空いています。

根管内でのイメージを書いてみました。

一般的なニードルでは左の図のようになります。
薬液が先端から押し出される構造となっているため、水圧が強いとそのまま根尖孔から薬液が飛び出すリスクがあります。
液体を根尖孔外に出すと、組織に刺激を与え、患者さんに痛みを感じさせてしまいます。
また根尖の先の組織が壊死することもあり、非常に危険です。

ですが、サイドベントニードルでは右の図のように、側面から薬液が押し出されます。
これなら不必要な圧が加わることはなく、痛みを出さない治療を行うことができます。

次亜塩素酸ナトリウムの効果は時間、濃度、温度に依存的に殺菌効果を示します。
その効果は汚れに触れると落ちていきますので、大量の薬を根管内に行き渡らせることが大切です。

それにはこのサイドベントニードルが適しているのです。
術者のテクニックになるべく依存しないような、安全な治療器具があれば、患者さんにも安心してもらえる医療を提供できるはずです。
なかなか治らない歯は、十分な化学的洗浄ができているか、確認しながら治療を行っています。

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科