三鷹市 ハートフル歯科の理事長ブログ
2011年7月月30日 歯内療法学会(根管治療学会)に参加して
根管治療をもっと熱く、真剣に行おう!
ハートフル歯科では、現在できる限り3台のマイクロスコープで確認して ラバーダムによる唾液の防湿を行っております。
時代の流れ、20年近くの前の大学講義の内容を踏まえ変化する、根管治療をどうハートフルに取り入れていくのかを再考することを目的に参加してきました。
① 治療器具の変遷
卒業する頃、ステンレススチール(SS)からニッケル・チタンファイル(NITI)に針のような治療器具は、使用金属の進化が始まりました。その頃は、使い方不明、治療中に突然折れてしまう危険性など示唆されました。
高額なNITIを使い捨てで使用することが困難で、滅菌使用する先生方がほとんどでした。破折の事故が多発。僕自身も使用を躊躇していました。
しかし、現在は破折防止の構造がNITIファイルに付与され、破折までの回数が基準として示され、その回数がきたら自動的に捨てる。そういった仕組みを、メーカーが構築したことことでコスト的にもハートフル内での導入と安全な使用を考えることができるようになりました。
使い方は、至ってシンプルです。根っこの先までSSファイルが入ったら、NTIで拡大するのです。機械的に規格で拡大するので、短時間に根管内の内径が非常に正確に拡大できます。規格で拡大することで、細くても規格化された根管充填材(ガッタパーチャー)が緊密に楔状に充填できるようになりました。
② 根管充填テクニックの進化
根管充填においては、水平加圧根充、垂直加圧根充、3D根充など各種現れました。教科書にもいろいろな物が出てきています。僕は、無難な水平加圧根充を普段行っております。
卒業以来、この手の学会に参加すると、垂直加圧や3Dなど新しいものが往々として話題になっておりました。仕組みは、形が違う一人一人の複雑な根管にどううやって緊密に根管充填するのかがテーマになるのですが、今回僕が次世代だと感じたのは、6年前の発売以来注目していた、スーパーボンドシーラーです。このような新し過ぎる商品は、すたれたり、使用法、予後などが不明瞭です。自分の臨床に導入することは、絶対にしません。
しかし、学会での講演などでは常に注目をしていました。
今回得た接着根充は、異次元の発想から生まれています。
今までは、加圧することで根管内に密着させる、緊密に充填することを目的に機材、テクニックを進化させようとしていた根管治療の歴史を大きく覆すものでした。
③ 加圧根充から、接着根充へ
ここ数年、歯質と接着する仕組みが進化したことを、セレック治療を通じて学びました。
科学の発展を感じているハートフルですが、また今回も、接着よる根充に変化を感じています。
根管内の空洞を接着剤でジャブジャブにして、隙間を従来のガッタパーチャーで埋める。接着剤で緊密に充填する。これが新しい考え方です。
従来は、進んでいると言われていた、垂直加圧根充は加圧することで緊密を得ようとしていましたので、根管内を必要以上に内径を拡大して歯質を失い、また、加圧することで小さな破折を作っていることを、僕は問題視していました。
だからハートフルでは、無難な水平加圧根充を採用していました。
接着剤は、収縮しますのでガッタパーチャーをある程度入れなくてはなりません。そして、接着剤と歯質、接着剤とガッタパーチャーが同時に接着する。濡れている根管内でも接着する。生体親和性が高いなど条件を満たす材料が開発されていたのです。そして、その使用法や予後など確認してまいりました。
④ 接着するメリットとは
根管内内壁の汚染物質を拡大、細菌の消毒後に根管充填を行い、見えない細菌、感染元をどう根管内から根尖から骨内へ出さないかがポイントになります。見えないものを、どう蓋をするかを考えるのです。
歯質と完全に接着する。接着剤の中に封じ込められた、細菌や感染物質は、根っこの先から出てくることは、ありません。
―まとめ―
NITIと規格化されたガッタパーチャーによる正確でち密な拡大充填システム。 その隙間を高度に進化した接着剤で満たす根管充填の考え方は、素晴らしいし理にかなっておりました。
マイクロスコープで根管内を確認する。
CTで根全体を把握する。
唾液、細菌の侵入を防ぐラバーダム、
早く正確な根管形成を行うNITIファイル、
規格化されたガッタパーチャー、
歯質との隙間を接着剤
ハートフル歯科では、従来の保険治療では不可能だと思われた米国式の最新根管治療を実践したい、と開業以来思いを馳せてまいりました。開業して5年、必要な設備もそろい、治療器具の開発は進み、経験を得たことで無難な根管治療から最新の根管治療へ変化をとげます。
時代の風は、いつも変わります。
変化することで、ハートフルは、発展していきます。
科学は、進歩します。
科学の進歩は、医療を大きく変えていきます。