今回は上顎右側7番の保存困難歯に対して、抜歯即時埋入を行いました。

一般的に上顎大臼歯部の抜歯即時埋入は難易度が高く、特に上顎洞が近接しているケースでは慎重な診断と術式選択が必要になります。

術前の状態

パノラマレントゲンおよびCTで確認すると、上顎洞底が非常に近く、抜歯後に残る骨量は限られていました。

さらに抜歯窩は大きく、通常のスクリュータイプのインプラントであれば、

  • 大きな抜歯窩への対応
  • 上顎洞との距離
  • 初期固定の確保

という複数の課題を同時に解決しなければならない症例でした。

Biconならではの埋入窩形成

今回はBiconインプラントを選択しました。

抜歯後、抜歯窩の洞側皮質骨を低速回転で慎重に削除し、シュナイダー膜が確認できるレベルまで骨を整形しました。

使用したドリルは、なんとハンドリーマー6mmのみ。

複雑なドリリングシーケンスは行わず、必要最小限の形成で埋入窩を作製しています。

Biconの特徴であるショートインプラントとプラトー形状を最大限活かした術式です。

シュナイダー膜の確認

埋入窩形成後は患者さんに鼻をつまんでいただき、バルサルバテストを行いました。

シュナイダー膜に穿孔がないことを確認。

上顎洞と交通していないことを確認したうえで埋入を進めました。

初期固定の獲得

興味深いのはここからです。

実際の抜歯窩はインプラントよりかなり大きく、抜歯窩だけを見れば隙間だらけの状態でした。

しかしBiconはスクリューで骨を掴む設計ではありません。

近心・遠心の残存骨壁を利用して圧入固定するため、抜歯窩が大きくても十分な初期安定を得ることができます。

結果として良好な固定を確認できました。

骨造成

埋入後は、

  • 削除した自家骨
  • 人工骨

を混和してギャップ部分へ填入しました。

さらに人工歯肉で創部を保護し、縫合して手術を終了しました。

スクリュータイプとの違い

今回のような症例では、

「抜歯窩が大きい」
「上顎洞が近い」
「残存骨が限られる」

という条件が重なっています。

スクリュータイプのインプラントでは、

  • より大きな埋入窩形成
  • 長いインプラントの選択
  • ソケットリフトやサイナスリフトの併用

が必要になることも少なくありません。

一方Biconは、

  • ショートインプラント
  • 圧入固定
  • プラトー形状

という特徴により、骨を温存しながらシンプルな術式で対応できるケースがあります。

まとめ

インプラント治療は「骨が少ないからできない」のではなく、「どのシステムを選択するか」で治療の幅が大きく変わります。

今回もBiconの特徴を活かすことで、上顎洞に近接した上顎7番に対し、抜歯と同時にインプラント埋入を行うことができました。

患者さんの負担を減らしながら、できるだけシンプルに、できるだけ骨を残す。

そんなBiconらしい抜歯即時埋入症例でした。

全ては、患者さんの笑顔ために・・・

下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科