神経保存療法には、MTA!
むし歯が大きくて神経を除去しなくてはならない処置になる可能性がある歯でも、神経を残せる治療法があります。
MTAセメントを使った「神経切断保存治療」というと分かりやすいかもしれません。
神経保存療法とは、むし歯が進行したところの周囲神経組織を一部取り除き、MTAセメントによってその穴を閉鎖します。
八割方の神経を生きたまま残し、保存する方法です。
もちろん、どんな症例にでも適応されるわけではありませんが、歯の神経を生きて残せる可能性が高い方法です。
 
自発痛がない、大きなむし歯が適応です。
神経が既に死んでいる場合は不適応です。
見た目では、適応、不適な区別がつきにくいのが特徴です。
蓋となるMTAは、充填時に強アルカリ性で殺菌効果を発揮しながら硬化していきます。
やがて硬化すると辺縁を封鎖します。
硬化に24時間かかるので自宅に戻り唾液が入らないようにしっかりその上に二重の蓋をしないといけないのが特徴です。
他のセメントでは、こういう使い方はしません。
 
私達は歯の神経を出来る限り残したい!
 
人間の歯は、生活歯(生きている歯)と失活歯(神経治療をされた歯)で、歯の余命や強度、感染に対する抵抗力が大きく異なり減少します。
結果、抜歯になる可能性が高まります。
なので、歯科医師としては出来る限り神経を残したいと思っています。

むし歯が大きいと感じたときには、まず神経保存療法についてお話をしてから始めます。

痛みのないむし歯なので、緊急性がないのが特徴です。

注意:MTAセメントは万能ではありません。神経が予定通りに残せないこともあります。ご理解下さい。

 

そして、今回「Bio MTAセメント」についても、ご紹介します。 

このセメントの特徴は、色にあります。

へぇ?と思われる方もいるとは思いますが、結構色も大切なのです。

 

従来の MTAセメントは、工業製品のセメントに似た灰色でした。

ある種大臼歯では何も関係ないのですが、前歯ではグレーカラーが透けて見えてしまうことあります。
前歯の内面にグレーがあると、虫歯のように見えてしまいます。
それでは、いけませんね! 
そこで、“白色のセメント”が発売されました。
MTAセメントは、各社販売されています。
ハートフル歯科医院では、用途に合わせて2色のMTAセメントを使い分けています。
全ては、患者さんの笑顔のために・・・
下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科