ブルーラジカルは、なぜ歯周病菌を殺菌できるのか?
歯周病治療機器「Blue Radical P-01(ブルーラジカル)」について説明していきます。
「ブルーラジカルって、レーザーで歯周病菌を焼く治療ですか?」
と思われる方もいるかもしれません。
実は、そうではありません。
ブルーラジカルの最大の特徴は、
「青い光」と「過酸化水素」を組み合わせることで、強い殺菌作用を持つ物質をその場で発生させること
にあります。
ブルーラジカルは「光だけ」で殺菌する治療ではありません
ブルーラジカルでは、
3%過酸化水素(H₂O₂)+405nmの青色レーザー
を組み合わせて使用します。
過酸化水素に405nmの青色レーザーを照射すると、過酸化水素が光分解されます。
そのとき発生するのが、
「ヒドロキシルラジカル(・OH)」
です。
簡単に表すと、
過酸化水素 + 青色レーザー
↓
ヒドロキシルラジカル発生
↓
細菌に酸化ダメージ
↓
殺菌
という仕組みです。
つまり、ブルーラジカルは単純に「青いレーザーを当てて菌を殺す装置」ではありません。
青い光を使って過酸化水素からヒドロキシルラジカルを発生させ、その強い酸化作用を利用して殺菌する治療です。
なぜ「ラジカル」が重要なのでしょうか?
歯周病治療を難しくしているものの一つが、バイオフィルムです。
バイオフィルムとは、細菌が集まって作る膜状の構造です。
身近な言葉でいえば、歯の表面につく「プラーク(歯垢)」もバイオフィルムの一種です。
このバイオフィルムの中では、多くの細菌が集団になって存在しています。
そのため、単純に表面を消毒するだけでは、内部の細菌まで十分に作用させることが難しい場合があります。
そこでブルーラジカルでは、過酸化水素と青色レーザーを組み合わせます。
過酸化水素から発生するヒドロキシルラジカルによって、バイオフィルム中の細菌に強い酸化ダメージを与えることを狙います。
「光だけ」「過酸化水素だけ」ではありません
ここがブルーラジカルを理解するうえで、とても重要です。
青色レーザーだけを照射する。
あるいは、
過酸化水素だけを使用する。
ということではありません。
重要なのは、
「青色レーザー × 過酸化水素」
という組み合わせです。
この2つを組み合わせることでヒドロキシルラジカルを発生させ、殺菌作用を高める。
これが「ラジカル殺菌」と呼ばれる理由です。
さらに、超音波で汚れを取り除きます
ブルーラジカルのもう一つの特徴があります。
それは、
ラジカルによる殺菌と、超音波スケーリングを同時に行うこと
です。
歯周ポケットの中には、細菌だけではなく歯石やバイオフィルムが存在します。
そこで、
超音波振動で歯石やバイオフィルムを機械的に除去する
と同時に、
ヒドロキシルラジカルによって細菌に作用する。
つまり、
「取る」+「殺菌する」
この2つを同時に行うことが、ブルーラジカルの大きな特徴なのです。
重度の歯周病に対する新しい非外科的治療
Blue Radical P-01は、ステージIII・IVの歯周炎を対象として承認された医療機器です。
そして大きな特徴の一つが、歯肉を切開することを前提としない非外科的な治療であることです。
もちろん、ブルーラジカルですべての歯周病が治るわけではありません。
歯周病の状態によっては、従来の歯周基本治療や歯周外科治療など、別の治療が必要になる場合があります。
しかし、
「重度の歯周病だから、すぐに外科治療や抜歯」ではなく、歯を残すための選択肢を一つ増やせる可能性がある。
私たちはそこに大きな意味があると考えています。
ブルーラジカル治療で大切なのは、その「次」
ここまでが、ブルーラジカルの基本的な作用機序です。
しかし、歯周病は細菌を一度殺菌すれば、それですべてが終わる病気ではありません。
せっかく歯周ポケット内を治療しても、その後の口腔内環境が悪ければ、再びプラークやバイオフィルムが形成されていきます。
だからこそ私たちは、
「ブルーラジカルで治療した後、どうやって良い状態を維持するのか?」
が非常に重要だと考えています。
次回は、
「ブルーラジカル治療後の予後を左右するプラークコントロール」
についてお話しします。
下田孝義












