歯周病治療を「歯石取り」から「ポケット内の歯周病菌をコントロールする」時代へ
歯周病治療というと、
「歯石を取る治療」
というイメージを持っている方が多いと思います。
もちろん、歯石を取り除くことは今でも歯周病治療の基本です。
しかしハートフル歯科医院では以前から、
「歯石を取るだけで、本当に歯周病治療は十分なのだろうか?」
と考えてきました。
歯周病の本当の問題は、歯石そのものだけではありません。
その周囲に形成されるバイオフィルムと、その中に存在する歯周病関連菌です。
原因は、「歯周病菌」です。とはっきりと話をしていました。
そこで当院では、従来のSC・SRPに加えて、電解機能水を使用したホットイリゲーションを取り入れ、歯周ポケット内部の化学的洗浄で細菌をコントロールすることにも注目してきました。
そして今回、その考え方をさらに一歩進める治療として導入を予定しているのが、
Blue Radical P-01(ブルーラジカル)
です。
第1世代|従来の歯周病治療
「歯石・バイオフィルムを物理的に取り除く」
従来の歯周病治療の中心は、
SC(スケーリング)・SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
です。
超音波スケーラーや手用器具を歯周ポケット内へ挿入し、歯石やバイオフィルムを機械的に除去します。
これは現在でも非常に重要な治療であり、歯周病治療の基本であることに変わりはありません。
しかし、歯周ポケットが深くなるほど治療は難しくなります。
特に深いポケットの底部は直接見ることができないため、従来のSRPでは術者の手指感覚に頼らざるを得ない部分があります。
また、歯根面を過度に処置すると、治療後に歯がしみるなどの知覚過敏が生じる場合もあります。
そこで私たちは、
「歯石を取ること」だけではなく、「歯周ポケット内部の細菌をどうコントロールするか」
に注目するようになりました。
第2世代|電解機能水によるホットイリゲーション
「歯周ポケット内を化学的に洗浄する」
そこで当院が取り入れてきたのが、電解機能水を使用したホットイリゲーションです。
考え方を大きく変えたポイントは、
「歯石を取る」から「歯周ポケット内の環境をコントロールする」へ
という発想です。
歯周ポケットが深くなると、通常のうがいだけではポケットの奥まで十分にアプローチすることは困難です。
そこでホットイリゲーションでは、歯周ポケット内部へ直接アプローチし、化学的な洗浄を行います。
つまり、
SC・SRP=機械的に取り除く
に加えて、
ホットイリゲーション=化学的に洗浄する
という考え方を取り入れたのです。
当院では以前から、歯周病治療を単なる「歯石取り」と考えず、
歯周ポケット内の細菌をいかにコントロールするか
という視点を大切にしてきました。
第3世代|ブルーラジカル
「洗浄」から「殺菌」へ
そして、その考え方をさらに進化させたものがブルーラジカルです。
ブルーラジカルも、深い歯周ポケット内に直接アプローチするという点では、ホットイリゲーションと考え方が似ています。
しかし、大きな違いがあります。
ブルーラジカルでは、
3%過酸化水素+405nmの青色レーザー
を組み合わせます。
過酸化水素に青色レーザーを照射すると、非常に反応性の高い
ヒドロキシルラジカル(・OH)
が発生します。
このヒドロキシルラジカルによる強い酸化作用を利用して、歯周ポケット内の細菌にダメージを与えます。
さらに、超音波振動による歯石・バイオフィルムの機械的除去も同時に行います。
つまりブルーラジカルでは、
「超音波による物理的除去」
+
「光と化学反応によるラジカル殺菌」
を同時に行います。
ここが、従来のホットイリゲーションとの大きな違いです。
「歯石を取る」→「洗う」→「殺菌する」
当院の歯周病治療の変化を整理すると、とてもシンプルです。
| 歯周病治療 | 主な考え方 | ポケットへのアプローチ |
| 従来のSC・SRP | 歯石・バイオフィルムを除去 | 物理的に取る |
| 電解機能水によるホットイリゲーション | ポケット内の環境を改善 | 化学的に洗浄する |
| ブルーラジカル | ポケット内の細菌へ直接アプローチ | 光+化学反応で殺菌する |
つまり、
取る
↓
洗う
↓
殺菌する
という進化です。
しかし、これは古い治療を新しい治療に置き換えるという意味ではありません。
それぞれの役割を組み合わせることが重要です。
ブルーラジカルは、SC・SRPの次の一手
当院では、最初からすべての歯周ポケットにブルーラジカルを行うという考えではありません。
まず従来通り、
SC・SRPによって歯石やバイオフィルムを除去します。
その後、歯周組織を再評価します。
それでも改善しにくい深い歯周ポケットが残った場合に、
「次の一手」としてブルーラジカルを使用する。
このような治療体系を考えています。
ブルーラジカル治療は、麻酔下で行い、治療時間は1歯あたりおよそ5分が目安です。
歯肉を切開することを前提としない非外科的な治療であることも、大きな特徴です。
私たちが変えたいのは「歯周病治療=歯石取り」という考え方
歯周病は、単に歯石が付いている病気ではありません。
細菌によって引き起こされる慢性的な炎症性疾患です。
だからこそ、
「どれだけ歯石を取ったか」
だけではなく、
「歯周病関連菌を、どうコントロールするか」
という視点が重要になります。
ハートフル歯科医院では、
SC・SRPによる物理的除去
から、
DrPlusによる歯周ポケット内の化学的洗浄
へ。
そして今回、
光と化学反応を利用したブルーラジカルによる殺菌
へと、歯周病治療の選択肢をさらに広げていきます。
ただし、ここで非常に重要なことがあります。
ブルーラジカルによってポケット内の細菌を減らしても、
その状態が永久に続くわけではありません。
お口の中には常に細菌が存在するからです。
だからこそブルーラジカル治療後は、
「一度減らした歯周病関連菌を、再び増やさない」
という次の治療が始まります。
その鍵となるのが、毎日のプラークコントロールです。
下田孝義








