「先生、奥歯がとれました。」

歯が取れた原因が、破折はよくある光景です。

前歯が抜ければ見た目の問題がありますし、6番が抜ければ噛みにくさを感じる方も多いです。

では、一番奥の歯である上顎7番が抜けた場合はどうでしょうか?

実は歯科医師の間でも意見が分かれる部分です。

上顎7番は必ず治療しなければいけない歯ではない

結論から言うと、

上顎7番は必ずしもインプラントが必要な歯ではありません。

実際に7番がなくても、

  • 普通に食事できる
  • 痛みもない
  • 見た目にも分からない

という患者さんはたくさんいます。

そのため、

「そのまま様子を見ましょう」

という選択肢も十分に存在します。

なぜ7番がなくても困らないのか?

噛む力の中心は6番です。

食事の際に最も活躍するのは第一大臼歯である6番であり、

7番はどちらかというと補助的な役割を担っています。

そのため、

6番がしっかり機能していれば、

日常生活で大きな不自由を感じないことも少なくありません。

では、治療しなくてもいいのか?

ここが難しいところです。

私は患者さんに、

「やらなければいけない治療ではありません」

と説明します。

しかし同時に、

「やる価値は十分あります」

とも説明します。

なぜなら7番には、

  • 咀嚼面積を増やす
  • 咬合力を分散する
  • 残った歯の負担を減らす
  • 長期的な咬合の安定につながる

という役割があるからです。

例えるなら四輪駆動車

車で例えるなら、

6番までしかない状態でも走ることはできます。

しかし7番まで揃うことで、

四輪がしっかり地面を捉えるような安定感が生まれます。

普段は違いを感じなくても、

長い年月の中で残った歯への負担は変わってきます。

若い人ほど価値が高い

特に

  • 40代
  • 50代
  • 咬む力が強い方
  • 長く自分の歯を守りたい方

には7番の回復をお勧めすることがあります。

人生100年時代と言われる現在、

あと30年、40年使うことを考えると、

奥歯の1本の価値は決して小さくありません。

今回の症例では、30代女性 真面目に歯ブラシもしてくれるの適応です。

高齢者では考え方が変わる

一方で、

80歳を超え、

  • 反対側で十分噛める
  • 6番が残っている
  • 外科処置の負担を避けたい

という場合は、

無理にインプラントを行わない選択もあります。

治療は歯だけを見るのではなく、

患者さん全体を見て考えるべきだからです。

私が大切にしていること

歯科医療は、

「治療するか、しないか」

だけではありません。

患者さんの人生や価値観によって答えは変わります。

上顎7番のインプラントは、

絶対必要な治療ではありません。

しかし、

より長く、
より快適に、
より自分の歯で噛み続けたい。

そんな希望があるなら、十分に価値のある治療だと思っています。

まとめ

上顎7番は、

なくても生活できる歯。

しかし、

あることで人生が豊かになる歯。

私はそう考えています。

インプラント治療を考える際は、

「歯を1本補う」という視点だけではなく、

「これから何十年、どう噛んで生きていくか」

という視点で考えていただければと思います。

そう、社会的な背景や経済的な部分、スキルを過信せず、安全にオペができるか?

など、色々な要素を加味して、治療計画を提案します。

インプラント手術をやるやらないという決断をします。

Aiが進んで、画像診断は、進みます。

しかし、この上顎の7番に抜歯即時埋入をするか?しないか?

安全に可能かどうかを術者の使用するシステム、スキルの加味することは、出来ません。

「レントゲンを見せて、インプラント可能か?」

という質問に対して

答えに窮することでしょう。

「バイコン使いのしもさんなら、抜歯即時埋入可能です。」とまでは、言いません。

診断、決断は、まだ人間の方が強いということだ!

Aiとの対話を通じて、歯科医師としての生きる道。

そんなことを考えながら診療をしています。

全ては患者さんの笑顔のために・・・

下田孝義
医療法人社団徹心会ハートフル歯科