プリント義歯のススメ
──総義歯製作は“デジタルの時代”へ ──
総義歯(入れ歯)の作り方が、大きな転換点を迎えています。
2025年12月より、ついに 3Dプリンターを用いた保険義歯 が導入されます。
これにより、従来の“レジンを固めて作る入れ歯”から、
変形の少ない高精度プリント義歯 へと進化します。
総義歯製作の流れが変わる ──最短3回で完成──
従来の総義歯は
- 変形
- 個人差
- 手技依存
が大きく、調整に時間がかかるのが悩みでした。
しかしデジタル総義歯では工程が刷新されます。
【新しい3回法】
1回目:旧義歯をコピー
→ 現状の形態・高さをデジタル化。
2回目:噛み合わせ・辺縁を調整しながら
印象(型取り)と咬合採得を同時に取得
→ 「調整しながら最適値をその場でデータ化」できる。
3回目:完成した総義歯をセット
→ 最短3回で製作が可能に。
“短い”だけではなく、
精度の高さ が最大の特徴。
レジンの変形問題が解決される衝撃
従来の入れ歯は、
ピンクのレジンが硬化する際の収縮・変形 が避けられませんでした。
これが
- 吸着不良
- 痛み
- 噛み合わせの狂い
の原因になる。
しかし3Dプリンター義歯では、
ほぼ変形ゼロ。
その結果——
- 吸着力が向上
- 咬合の再現性が高い
- “外れにくい快適な義歯” が実現
実際に試した患者さんは
- 力一杯に引っ張って大きな音を立てて外す
- 水を流して気圧を抜いて外す
といった“新しい外し方”
これは技術ではなく、
精度が生み出す吸着の証拠。
デジタル化が義歯もインプラントも変える
3Dプリンターは義歯だけでなく、
- インプラントのサージカルガイド
- マウスピース矯正
- 顎模型
- スプリント
歯科医療のあらゆる分野を進化させています。
デジタルは“流行”ではなく
医療品質を底上げするインフラになりました。
最後に──すべては患者さんの笑顔のために
アナログからデジタルへ。
作業から設計へ。
経験則からデータへ。
歯科医療は、大きな時代の転換点にいます。
その目的はただひとつ。
患者さんの笑顔と、QOL(生活の質)を高めるために。

下田孝義








